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「はぁぁ、本当に美味しかった!それにすっごく楽しかったよ、有難うー!」
「こちらこそっ、またいつでも来てね?」
「あぁ。佐古も、見送り有難う。」
「……おぅ。」
あれから片付けが終わってジンジャークッキーを食べて、でも食べきれなかったからみんなで分けて
リビングのソファーでゆっくり喋ってたらもう消灯時間だった
「そろそろ帰るねっ」と言うイロハたちを玄関まで送ろうとすると、何と佐古も着いてきて (デレた佐古が可愛すぎてやばい。何かラノベとかの題名にありそうな感じだけどまじでやばい。)
「それじゃぁ、部屋帰ろっかカズマ。」
「だな。」
「またねー!」 と、パタンッてドアが閉まって
シィ…ン……と静かになった
(寂しい、な……)
佐古も、もう部屋行く流れだよなぁこれって
まぁ…今日の収穫はいっぱいあったし、いいか。
「さっ、僕らもそろそろ部屋戻ろっか。」
クルッと佐古の方を向いてニコリと笑い、そのまま部屋へ戻る
「ぉ、おいっ、」
「ん? どうかした?」
振り返れば、佐古が何やら難しい顔をして「いや、その…」と唸っていた
(んん? 何だろう。)
「その……わ、悪かった………」
「…え? 何が?」
「だ、だからっ、その……一昨日の、こと、だ…」
(一昨日?)
何か謝られるようなことあったかなぁ……
(………ぁ、)
もしかして
「僕に、病弱って言ったこと謝ってるの……?」
確認するようにじぃっと目を見つめたら、バツが悪そうにふいっと逸らされる
「そ、そうだよっ。悪りぃかっ、」
「…っ、あははっ、やっぱり佐古くんは真面目だよー!」
「なっ、お前、人がせっかく謝ってんのに笑うのかよ!」
「ごめんごめんっ。ふふっ、有難う謝ってくれて。
ーーーでも、佐古くんが謝ることじゃないよ。」
「は?」
「だってその通りなんだから。だから佐古くんは何も悪くないよ。気に病まないで、ね?」
(ハルだったら、きっとこう言うだろうな。)
「っ、ちげぇよ! お前は強い…!」
「……ぇ、?」
ガシッと両手で肩を掴まれて、ずいっと佐古の顔が寄ってきた
「お前自分で言ったじゃねぇか! 俺睨んで〝俺はてめぇよか強い〟って!忘れたのかよっ!」
「ぁ、あれは……でもっ、」
「あぁうっぜぇなお前は強いんだろうが!あぁ!?」
「っ、」
(佐古…なんで、)
「俺は、一昨日お前にあぁ言われた時意味がわかんなかった。そんなひょろっひょろの体して何が俺より強えぇだよ馬鹿にしてんなって思った。
だが、今日…分かった。感じた。
ーーーお前は、心が、俺より強えぇんだろ?」
(あ……)
佐古…まさか、
(ちゃんと、内面まで、見て、くれた……?)
「なぁ、それで当ってんだろ?」
「………。」
「返事!!」
「っ! は、はい!」
(ど、しよ……やばい…っ、)
通じた、俺の気持ち。
俺の目をしっかり見て怒ってくれてる、この男の中には
しっかりと〝ハルの居場所〟がある
ってことは、
ーーー佐古は、もうひとりじゃない……?
(まだ、〝友だち〟には程遠くても…)
それでも
「っ、お、おぃ、」
嗚呼、どうしよう。
「っ、佐古くっ……、」
誰かに気持ちが通じるって、こんなにも嬉しいことなんだ
「お、おぃ、なっ、泣くなって、」
あんなに怒ってた佐古が、オロオロし始める
「ど、どなって悪かったからっ、なっ、」
「…っ、あははっ!」
慌てようが面白くて、出てきてしまった涙をグイッと両手で拭く
「違うよ佐古くんっ、これは、嬉し泣きなのっ。」
あの寂しい世界から、佐古を引っ張り出せた
その嬉し泣きで
だから
「有難うっ、佐古くん。」
(有難う、佐古。)
〝ハルを、受け入れてくれて。〟
「ーーーっ、!」
俺の両肩を掴んでいた手がバッと外され、突然両腕で自分の顔を覆うようにクロスしだした
「…? 佐古くん?」
「お、おまっ、その顔反則だろっ!」
「え、なぁに? 僕変な顔した?」
「っ、クソ、無自覚か…」
ん? 何かそのくだりイロハたちもしてた気が……
(あ、もしかしてまた変な顔で笑っちゃったのかな、俺…)
しかもちょっとだけ泣いちゃったし、余計に変な顔だったかも……
申し訳ない…としょんぼりしてしまって
そんな俺に「いや、違ぇ、いや違くもねぇが違ぇ!」と意味の分からないことを言い出す
「あぁーーくっそ、俺は部屋行くからな!」
はぁぁっと頭をガシガシかき回しながら部屋へ行く佐古に「待って!」と声をかけた
「あ?」
「次、いつ帰ってくるっ?」
「……入学式の前日。」
「ってことは、また明後日…!」
今日は金曜日
土日挟んで、月曜からいよいよ入学式だ
「佐古くん、明後日一緒にカレーつくろっ? ルー多めにつくってイロハたちも呼んでいいかな?」
「……勝手にしろ。」
「っ、うん、うんっ!有難うっ。」
(嬉しい、嬉しい!)
「じゃぁ、もう寝るね? 佐古くんお休みなさい。」
「おう、
…………お休み、小鳥遊。」
「っ、へ、」
バタンッ
呆然と佐古の方を向くと、既に佐古は部屋の中
(今、名字で、呼ばれた。)
「っ、うぁ……」
心に、じんわりと温かいものが広がっていくような
そんな、感覚
(こういうのを、何て…言うんだろうか。)
「……ぁりがとっ、」
ハルに言いたいことが、またひとつ増えた
***おまけ***
[ジンジャークッキーを食べながらリビングでくつろぐ4人]
イ「んー美味しい!やっぱりおれのレシピに狂いは無いっ!」
ハ「え、これイロハのオリジナルレシピなの!?」
イ「そうだよー!お菓子づくりは昔から大好きだったからね、自作のレシピいくつかあるんだー!でもこれは今回初めてだったんだよね、だからちょっとだけ不安だった。」
ハ「そうなんだ…!本当に美味しいよ、ね?」
カ「あぁ。」 佐「……(肯定)」
イ「やった!有難うみんな! ふふっ、ん〜♪ ……って、何だこの形はぁぁっ!?!?」
佐「っ、そ、れは、」
イ「んん、佐古くんなの!? 何これどうやったらこうなるの!?ねぇ!?」
カ「落ち着けイロハ、元はと言えばお前が型抜き没収したのが悪いんだろうが。」
イ「だって!見てよこのクッキーのワンちゃん率!せっかく型抜きいっぱい持ってきたのに何でこうなっちゃったのさ! …ってあぁ! もう1個変なのがある!!ちょっと佐古くん!?」
佐「は!? ちが、俺1個しか作ってねぇし、」
イ「じゃぁ誰なのこれはぁぁぁぁ!!」
ハ「あ、それ僕が作ったんだよー。」
イ・佐「え、」
ハ「ほらほらよく見て? ここが目でここが口でここが鼻なのっ! 何だか分かる?」
イ (目、だと…?)
佐 (口…鼻……?)
イ「い、いやぁ何だろうなぁ…ここまで答えきてるんだけど、出てこないなぁ……う、うーんっ、(え、どうしよう全っ然わかんないやばいっ)」
佐「お、おぉ俺も、わ、かんねぇ…! (おいおい何だよ知るかよあの笑みはパスだぞおい!)」
ハ「カズマは?」
カ「……人、か?」 イ・佐 (おぉ…!)
ハ「うんうん!そうだよー、誰でしょうっ!」
カ「…………。」
イ・佐 (頼む頼む当たれ当たれっ、)
カ「……櫻さん。」
ハ「ピンポーンっ、カズマ正解!」
佐 (はっ!? これが櫻さん…だと!?)
イ (カズマすごい…何で当たったの!?)
カ (いや、当てずっぽでハルと関わりのある人を俺たち以外で考えたらそうなっただけだったんだが、当たってよかった。)←要するにカン
ハ「櫻さんにはお世話になってるし、折角だからこのクッキー持って行ってあげようかなって。でも…これ櫻さんだって分かってくれるかな、櫻さん……」
イ「(っ、ハルがシュンってなってる元気付けてあげなきゃ…!) だ、大丈夫だよ!きっと分かってくれるよ!!」
カ「俺でも分かったんだ、大丈夫だ。」←カン
佐「……櫻さんなら、何貰っても嬉しいと思う。」
ハ「みんなっ…!!」
イ・カ・佐 (あ、ごめん、櫻さん。)
その次の日のこと、櫻さんは可愛い可愛い小鳥遊くんからかつて無い難問を言い渡されるのであった、まる
[友だち編]-end-
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