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side佐古: 外のダチ
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「お!佐古じゃん!!」
「よー佐古!最近よく来んなぁ。」
「よぉ。」
夜
いつもの時間、いつもの場所に集まってる奴らの輪の中に入った
「んー今日は何すっかな。」
「何でもいいんじゃね?取り敢えず歩くかー!」
大体集まりきってから、ゾロゾロ動きだす
「よ、佐古。お前今日も来たんだな!」
ガシッと型に腕を回して来たのは、いつものよく笑う奴
「そういうお前も今日もいんじゃねぇか。」
「あははっ、だって楽しいだろ!ってか佐古の黒髪まだ見慣れねぇ。」
「わかる!俺も見慣れねぇわ。」
「まじそれな。どうした佐古?お前遂にあのガッコーに染まったか?」
「あーあー言ってろ。別に何色だっていいだろ。」
「はははっ、まぁ確かにそうだけど。なに佐古、次は青とかにでもするわけ?」
「やめとけやめとけ!俺と一緒に銀髪にしようぜ!」
「おい被らせんな、せっかくなら誰もしてねぇ髪色の方が良いだろ! たとえば…レインボーとか。」
「ぶはっ、ちょ、佐古がレインボーは無いわっ、」
「俺みたいな奴がレインボーはありだけど佐古は…っ、
やべぇ、想像したら笑えてきた……、」
「…おいお前ら想像してんな。」
「っ、はははっ!」
吹き出してる奴らに苦笑しながら、軽くため息を吐く
「なぁ、ってか腹減らねー?」
「いつものとこ行くか?」
「はいはい俺さんせー!特に予定入ってねぇならいんじゃね?」
そうして「メシ食おうぜ!」の流れになり、いつもの場所へ向かっていった
「いつも悪りぃな。」
「いーってことよ。ほらっ。」
帰りがけ、毎度送ってくれるよく笑うこいつからヘルメットを投げられる
「今日はガッコー?」
「いや、この前の場所で。」
「おっけー。」
学園はもう冬休みに入ってるから今は屋敷に帰ってる
だが、何となく屋敷まで送られるのは気がひけるからその手前までで止めてもらってる、が……
「あのさ、」
「ん?」
「俺、今日でここ来んの最後だ。」
「そっか。」
走り出したバイクの風に乗せるように、そっと告げた
このグループの奴らは、ある日を境に何も言わず突然来なくなる
そして、そうやって消えていった奴らのことをメンバーは誰も追ったり口出したりしない
それが代々受け継がれてきているあのグループの暗黙の了解だ
俺もそうするつもりだったが、どうしても1番仲の良かったこいつには言っておきたかった
「ははっ、みんな薄々は感じてたんだぜ?」
「だろうな。」
髪を黒くした時から、何となく察してたんだろう
「ちゃんと乗り越えれたのか?お前の抱えてるもんを。」
「あぁ、ようやくな。」
「そうか、良かったじゃねぇか!」
自分のことじゃねぇのに、まるで自分のことのように喜んでくれる
(本当、いい奴だよな。)
あのグループの奴らも、本当にみんないい奴だった
行き場のない俺にとても良くしてくれて、入り浸っても受け入れてくれて、ただただ楽しくて…居心地が良くて……
「今の俺があんのは、お前らのおかげだ、有難う。」
勿論、あの学園…
櫻さんや梅谷・アキや丸雛達だってそうだが、やはり1番はこの場所
俺が1番辛い時、自暴自棄になっていたのを笑って受け入れてくれたこの場所に……俺は1番感謝したい。
「おいおい何だ佐古、しんみりしやがって!」
「っ、ハハッ、そうだな。」
(本当、こいつには最後の最後まで迷惑かけっぱなしだ。)
「ってか、それを言うなら俺だってお前に感謝してんだぜ?」
「あぁ? 何をだ。」
「俺もさ、今日で最後だったんだ、ここ来んの。」
「ーーーは、?」
呆然とする俺に「はははっ!」と変わらず楽しそうに笑ってくる
「実はさ、今年の4月から夜間学校行くの、俺。」
「夜間…学校……」
「そ。だからいい加減夜遊び辞めよっかなって。」
こいつは前、家が貧乏だから高校へ行けないんだと言っていた
それを「別にどうってことねぇけどな」と笑っていた
なのに…
「なんかさ、お前見てると俺も行きたくなってさ。」
「え、?」
「お前初めはまじでガッコー嫌そうだったのによ?だんだん満更でも無さそうな顔になってきて…
挙げ句の果てには文化祭まで招待しやがんだぞ? あんな楽しそうに俺たち以外と笑ってるお前、初めて見たわ。」
段々と前を向いて雰囲気が柔らかくなっていく佐古を見てるうちに、「あぁ、俺もやっぱ学校行きてぇなぁ。」って思うようになってきて
「稼いだ金使って行くことにしたんだ。俺昼間も遊んでるわけじゃねぇんだぜ?ちゃんと全部自分で働いた金だ。」
「そうか……凄ぇな。」
「ははっ、俺もお前にだけは今日最後だって事言おうと思ってたのによー、先越されたわ!」
こいつがあのグループを抜けるってことは、こいつ自身もちゃんと〝何か〟を乗り越えれたということで
「良かったな。」
「おう。俺もお前らのおかげだ、ありがとなっ。」
前方でニヤッと嬉しそうに笑ったのが、背中越しに伝わってきた
「じゃ、この場所までだったよな?」
「そ、ありがとな。」
「ってか、連絡くれれば迎え行くっていつも話してたのによー。お前結局一度も連絡くれなかったな。」
「ははっ、悪りぃ悪りぃ。」
「ま、いいけどさ。
それじゃ、またな佐古。次会うときは日が昇ってる時間帯だな。」
「あぁそうだな。また会えるといいな。」
「おいおい何だそれ! だから湿っぽくすんのやめろって!」
「っ、はははっ、まぁ、お互い元気に頑張ろうぜ。」
拳を突き出すと、コツンと拳が重なって
「んじゃ、またな。」と言い残し
よく笑うあいつは、やっぱり最後まで笑いながら
去っていったーーー
***
佐古のチームに関してはP302の【その3: 佐古と外のダチの話】を読んで頂けますと幸いです。
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