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「「わ…ぁ……っ!!」」
テーブルいっぱいに広がる箱からのぞく、綺麗な綺麗な和菓子たち
通された部屋で椅子に座って、「ちょっと待っててね!」とパタパタ準備する母さんと「俺も手伝いますね」と一緒に出て行ったカズマ
やがて出て来たのは、上品な箱と美味しそうなお茶だった
(す…ごい……)
ひとつだけでも充分綺麗なのに、それがこんなに並べられると圧巻というか………
「クスクスクスッ。」
「はっ、」 「ぁ、ぁの、」
「良いのよ。あなた方のそのキラキラした顔を見れただけで充分だわ。作って良かった。
…あなた方は、小鳥遊さんでお間違えないかしら?」
「「はいっ、そうです。」」
「お噂は予々…双子でしたのね、とても可愛らしいわ。
アキさん、日本へ戻られてお兄様と同じ学校に通うことができて良かったわね。」
「ぁ、有難うございますっ。」
「ふふふ。小鳥遊夫妻にも丸雛をよく使って頂いてます。夫妻は、その時その時の季節の和菓子をお求め頂くことが多いわね。例えば…これとか。」
パッと手に取られたのは、七夕の星が乗ったあの和菓子
「そのお菓子覚えてます!食べるのが勿体無くて暫く眺めちゃって…」
「まぁ、覚えてくださってるなんて嬉しい!有難う。
お二人の隣にいらっしゃるのは、龍ヶ崎さんと……」
「お初にお目にかかります、丸雛社長。私は小鳥遊ハル様・アキ様の月森です。以後お見知り置きください。」
「そうだったの!二人に付く月森なんて珍しいわね。まぁまぁ…どうぞ宜しくお願いします。龍ヶ崎さんも、初めまして。」
「初めまして丸雛社長。龍ヶ崎レイヤです。龍ヶ崎もよく丸雛にお世話になってます。宜しくお願い致します。」
「こちらこそ、いつも使って頂いて有難う御座います。
カズマくんから既に紹介はあっているかとは思いますが、改めますね。初めまして、イロハの母です。丸雛の社長をしています。 宜しくお願いします。」
俺たちはまだ学生の身分なのに、それでも丁寧に頭を下げられる
「さっ!先ずはお茶を飲みましょう!! カズマくんに怒られちゃうわ〜!」
そして可愛らしく笑いながら、目の前にある和菓子とお茶を勧めてくれた
「ねぇ、小鳥遊さん。」
「「はい。」」
少し時間が経った所で、ポツリと名字を呼ばれる
「先日の件、イロハが勝手に家へ押しかけてしまったようで本当にごめんなさい。ご迷惑をお掛けしました。」
「そ、そんなっ、あれは全然!」
「寧ろこっちが勝手にお願いしてしまったというか…だから謝るのはこちらの方で、」
「いいえ、もしそうだとしても最終的な判断はイロハがしたのでしょう? でしたらこちら側の問題。イロハは既に謝っているかと思うのですが私の口からも謝罪させて頂きたかった、大変申し訳ありませんでした。」
「いいえ!もう本当にいいんですっ。」
「頭を上げて下さいっ。」
あの時の話は、どこでボロが出るか分からないから詳しくは話せない
でも…最終的な判断をしたのは確かにイロハであっても、その判断をさせてしまったのは俺たちなわけで
だから、
「「っ、」」
なんて言えばいいか分からなくて2人で思考を張り巡らせてると、両隣から大きな体温がそれぞれ手を握ってくれた
「丸雛社長、小鳥遊がそう言ってるんですから顔を上げてもよろしいかと。寧ろ今の状況に困ってますよ。」
「クスッ、そうですね。もうおふたりの中であれは過ぎ去った事。イロハさんとハル様アキ様で和解しておりますので、もう触れずとも大丈夫ですよ。」
(レイ、ヤ…先輩……)
「…ふふ。そうね、有難う。
ごめんなさいねっ、またこんな話してしまって。暗くなっちやったわね。」
「いいえ、いいんですっ。」
「それよりも…僕らは……」
チラリとカズマへ視線を流すと、小さく頷かれた
「イロハは、何処でしょうか。」
「クスッ、イロハね。
さっきお菓子を準備する時に家の者へ声をかけたから、間も無く〝支度して〟来ると思うのだけど……」
(〝支度して〟…?)
「あの、それってどういうーーー」
コンコンッ
『奥様、イロハ様が参りました。』
「まぁ、タイミングがいいわね。そのまま通して頂戴。」
カタン…
「「……………え、」」
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