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コワモテ。
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「…ん?
お前ジジイの息子か?医大生の?」
ふいに虎徹が虎之巴から目を逸らして澄に話しかけた。
「はい!
あの…若のイロとは知らなくて、別に普通に話してただけなんで!」
な〜自分?
と、澄は虎之巴に目線をずらす。
「!」
コクリと頷く虎之巴が虎徹をじっと見る。
お前は勘違いをしているのだと諭すように。
「うっ……ごめん。」
こういう業界で言う『イロ』というのは、情人や愛人なんかを指します。
セフレや合法的な浮気、一夫多妻制の様なものでしょうかね。
決して、恋人ではないのです。
「…(でもイロって行為はしてないからなぁ。)」
イロには含まれないのでは、と虎徹は試行錯誤している。
そんな不純な関係に位置づけされるのが嫌なのか、もう少しちゃんとした関係になりたいのか。
まだまだ虎徹の鈍感は続きそうだ。
「虎徹。飯だぞ。」
そんな時、
このカオスな状況を、みごとぶっ壊したのは…
「親父…!」
現トップである、虎徹の父だった。
「くみちょ…!?」
澄はもう限界に近い様子だった。
虎徹には浮気を勘違いされ、トップの2人にサンドイッチされる。
「……おお、お前医大のやつか。
腰抜けてんのか?ん?」
虎徹の父親は澄に目を向ける。
「はいぃっ」
声が裏返るのも無理はないだろう。
「ほぉー…随分ひょろっとしてるのが来たな。」
「すみません…っ!」
澄がプルプルとチワワの様に震える様が、どうも面白かったようで。
親子揃って笑い出した。
「はっはっは!!!あのジジイも初めはこんなだったのか?」
「はっはっは!!ちがいない!!
あいつも初めは震えていたさ!」
「え?親父のことっすか?」
澄も二人の笑顔にホッと胸をなでおろした。
そして虎徹の父は、隅の方でこちらの風景を見つめている虎之巴にピントを当てた。
「…ん?」
スッ…と、虎之巴の前に行き上から見下ろす。
「……昨日の小汚ねぇやつか?お前。」
「っ!!」
一風変わった父の声色にすぐに反応した虎徹。
「虎之巴っ!」
「虎徹さん…!」
虎之巴を庇うようにして父と虎之巴の前に入った虎徹。
虎徹の父は鋭い眼光を後ろに隠れた虎之巴に向ける。
が。
「ん?嫌われたか?」
「親父がえげつない顔してるからだよ。」
と、先程の声のトーンは変わらずにそう言った。
別に怒っているわけでもなく、ましてや睨んでいるわけでもなかった。
ただ単に、強面というだけなのだ。
虎徹と同じく。
「そうか、それはすまん。
馬鹿の後ろから出てきて話をしないか?えーと…」
「虎之巴。」
「ああ、虎之巴。」
チラッと虎之巴が虎徹の後ろから顔を出すと父は頑張ってぎこちない笑顔を作っていた。
「こわっ」
澄がそう言うと虎徹の父はギッと睨んだ。
「ひえっ」
「ほら、俺の親父だから。
大丈夫だから、ちゃんと挨拶ぐらいしてやってくれ。」
「…初めまして。
虎徹さんの親父さん…?」
まだハキハキと喋るというのは困難で、小さな声だが挨拶はできた。
「ああ、この馬鹿の親父だ。
呼びづらかったら大我と呼んでくれてもいい。」
大我【たいが】はぎこちない笑顔で手を差し出した。
虎之巴はその手を握り返す。
「たいがさん…」
「おう、英語で虎って意味なんだとよ。
どうだ、シャレオツだろ?」
「親父、古い。」
「まじか。」
虎徹に綺麗なツッコミをされて残念そうな顔をした大我だった。
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