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「まて!」
逃げれるわけなどない。
運動神経だけはよかったから。
すぐに追い付かれ、腕を掴まれた。
けれども振り向くことは出来ない。
今さらなんだと言うんだ。
この男、篝伊吹とは大学を卒業して以来、実に六年は会っていなかったことになる。
一度も連絡を取ったことはないし、就職して住む場所も変わった。
なのになぜ、ここにいるのか疑問でならない。
一つ、思い当たるとするならば…
黒田智樹…。
俺の大学時代の友人で伊吹の高校からの友人でもある。
人見知りだった俺の唯一の友人で、他は伊吹を介して友達になった奴らなので伊吹と離れる時、全てを切った。
智樹以外を…。
「言っとくけど智樹じゃねーよ。あいつは全く教えてくんなかったよ」
俺の気持ちを見透かしたのかそんな言葉をかけてくる。
けれども俺は頑なに口を閉じていた。
がしがしと頭をかく音が聞こえる。
苛立ったときの伊吹の癖だ。
久しぶりに会ったというのに何でそんなこと、覚えているんだろう…。
やはり心のどこかで忘れていなかったということか…。
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