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「京佑ー!!」
いつものようにラウンジの隅で本を読んでいると俺を呼ぶ伊吹の声。
顔をあげた瞬間、伊吹はテーブルに手をついた。
「就職決まったって!?」
あぁなんだそのことか。
「まぁ…」
「なぁんで教えねーんだよ!」
教えなかったのは…最近、伊吹と会ってなかったから。
伊吹は最近、会社を継ぐべく、大学にあまり来ていなかった。
だからきっと誰かから聞き付けてきたのか。
「電話とかでも言えるだろ」
それも考えたけど邪魔は出来ないと思い、ほとんど連絡をとっていなかった。
「悪い」
「はぁ…。俺は京佑から聞きたかったよ…」
「悪かったって。それより仕事はどうだ?」
俺は話をそらしたかった。
自分の就職先の話から。
聞いてほしくなかった。
するとうまい具合に自分のことを話す伊吹にほっとした。
俺は卒業したら伊吹と別れる。
ここから少し離れたところにもうすでに新しい住居も決めている。
だから気づかないでほしい。
そのときまでは少しでも長く側にいさせてほしい。
「いつ別れるの?」
これは何度も言われた言葉だ。
伊吹の浮気相手の一人。
男にしては可愛らしい容姿を持った子で彼自信にも取り巻きは何人もいる。
伊吹が好きなようで何度も何度も彼は俺にこの言葉を投げ掛けた。
しかし俺が応じることはない。
「さあね」
いつもこの言葉であしらってる。
もう少しだよ。
そしたら伊吹は君の元へ行くかもしれないし、別の誰かと婚約するかもしれない。
もう少しだけ…。
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