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卒業式の日、俺は大勢の人混みの中、京佑を探した。
けど、全く見つからない。
連絡してもつながらない。
なんでだ?
一抹の不安に駆られた。
「はぁはぁ…。と、もき…。京佑…知らね…?」
ようやく探しだした京佑への手がかり。
もう智樹しか思い付かなかった。
回りの京佑とも交流のある友達に聞いても皆、知らないと言われ、もうどうしようもなかった。
智樹が知らないとなればもうお手上げだ。
「なんで…?」
けれど智樹から返ってきた返事は予想外で固まってしまった。
なんで…?
なんでって…。
だって京佑は俺の恋人だ。
京佑は卒業式に出ると言っていた。
今日、このあとだって約束していたはずなのに連絡がつかないとなれば心配に決まってる。
「京佑は…卒業式には出ねーよ」
は…?
卒業式に出ない…?
「……!!なんでっ!?どうかしたのか!?」
「……京佑は就職先の近くに引っ越した。もう今はバスでむかってんじゃないか?」
「就職…先?今のとこから通うんじゃないのか?」
「いや?前から就職したら引っ越すって言ってたし。あぁ、お前に伝言。伊吹の物は自宅に郵送したから自分で処理してってさ」
頭が真っ白になった。
なにも聞いてない。
恋人なのになにも知らされてない。
智樹は知ってるのに?
お互いに忙しくて卒業前はあまり構えなかったけどまさか…。
「どこ…どこに引っ越した?なんで俺に教えない?」
智樹に詰め寄った。
思った以上にショックがでかい。
「なんでって…わかんねぇの?」
智樹は呆れたような目で俺を見た。
「お前が浮気をし続けたことが一番の要因だろうよ」
ガンと頭を打ち付けられたようだ。
「…………………」
京佑に浮気がバレているのは知っていた。
昔、一度、問い詰められたことがあったから。
けどその一度だけでそのあとはなにも言われなかったから大丈夫だと思っていた。
「はっ…なにも言われないからって何も感じてないわけじゃねーんだよ。あいつはお前のことが好きだから卒業までは側にいたいって言ってた。きっと卒業したら伊吹は家を継ぐからそれまではって我慢してたんだよ。そんなに大事ならなんで浮気なんかすんだよ!なんで大切にしてやらねぇ!?」
ズキズキと胸に突き刺さる智樹の言葉。
京佑が好きだ。
他は本当に気の迷いでしかない。
クズ野郎だ。
好きな人も守れないで…大切に出来ないで…。
バカだ…。
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