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魔法が解ける前に 3
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「なに、あんたまだ言ってないの!?」
ある夜、オレはよく通うゲイバーに、
やっぱり女装して行き、オーナーに愚痴を溢していた。
「もう、言うタイミング分かんないです・・・・・」
カウンターに突っ伏しながら嘆くと、隣で飲んでいた皆川が苦笑いをしてオレの肩を叩いた。
「お前先週も同じこと言ってたな」
「だって・・・・・」
しょうがないじゃないか。
自分が男じゃなければ、なんて何度考えたことか。
昴くんは優しい。
申し訳ないくらいに。
ほんと、罪悪感でいっぱいだ。
オレがげんなりと肩を落とすと、皆川はグラスを一気にあけ、オレの背中をどんっと叩いた。
「なんだよせっかく付き合うまでいったのによぉ。
どうせいつかバレるんだからさっさと言っちまえよ」
「なんだよ皆川まで・・・・・」
そんな簡単な話じゃないことくらい、こいつだって分かってるはずなのに。
ぐすんと泣いたふりをすると、オーナーはお酒を作りながら微笑んだ。
「まぁ、愚痴ならいくらでも聴いてあげるから。
またいらっしゃい」
オーナーは、本当にいい人だ。
オレの話をしたとき、オレのために泣いてくれた。
差し出されたカクテルを味わいながら、オレは昴くんのことで頭がいっぱいだった。
事件が起きたのはその翌日だった。
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