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魔法が解ける前に 4
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昼休み、皆川と昼食をとっていると、オレの携帯が震えた。
箸をくわえながら画面を開くと、昴くんからラインがきているのが分かった。
自然に口角がつりあがってしまう。
『昨日楽しかった?』
きっと昴くんが言っているのは、オレがウソをついたショッピングのことだろう。
実際は皆川と遊んでいたのだが、そんなこと絶対に言えない。
『楽しかったよ、今度は昴くんと行きたいな』
素早く打ち、オレはカップ麺を啜った。
するとすぐに既読がつき、返信がきた。
『そっか。それはよかった。
ところで、今日はうちくる?』
『行きたいな』
『何時ごろくる?』
昴くんと何度かやり取りをしたあと、携帯をしまい、再び麺を啜ろうとすると皆川がクスクスと笑っていた。
「なんだよ皆川」
理由も分からず笑われたことにむすっとすると、皆川はからかうような軽い笑いかたをした。
「いや、上手くいってるみたいでなによりですね」
皆川に茶化されたせいで、麺が箸から落ちてしまった。
オレが唇を尖らせると、皆川は素知らぬ顔で目を丸くしてみせた。
「いや、何とは言ってないけどな?」
こういうお調子者なところは普段なら好意的に見れるが、時としてオレをイラッとさせる。
「そんなに羨ましいか。
早く自分の恋人見つけることだね」
「お、おう・・・・分かってるよ!」
なんとなく歯切れの悪い返しだった気がしたが、オレはそれを無視してスープを飲んだ。
放課後、1度自分の家に帰った。
「あれ・・・・・・?」
鍵を回すといつもの感触と違い、不審に思ったのでドアノブを回した。
(鍵開いてる・・・・・。朝かけ忘れたかな?)
元々不用心な所があるのを自覚しているため、オレはすぐに疑問を掻き消した。
家に入ると、すぐにオレはクローゼットから最近買ったスカートに着替えた。
流石に女装にも手慣れてきているなと、自分でも思う。
メイクを終わらせ、家を出ると、オレは何度も鍵を閉めたのを確認してから歩き出した。
昴くんの家につくと、オレはインターホンを押した。
「早かったね薫。あがって」
「・・・おじゃまします」
おかしい。
なにかがおかしい。
昴くんの様子に、違和感がある。
いや、きっと彼を全く知らない人ならこんな些細な変化には気づかないだろうが、なにか変だった。
「今コーヒー淹れるからソファ座ってて」
「うん」
いや、きっと気のせいだろう。
昴くんの優しい微笑みにほだされ、オレはカバンをソファのわきに置き、フワフワのクッションを抱えて座り込んだ。
「え・・・・・・」
目の前のテーブルには、なぜかオレの下着が置いてあった。本当なら、オレの家にあるはずの、スラックスだ。
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