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王子さまの裏の顔
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キラキラと無意味に光るネオン。
片隅に酔っ払って寝ている小汚いおっさん。
辺りはゴミばっかり落ちていて、薄暗い。
通りがかる人々は皆どこか汚らわしい顔をしているように思える。
「いらっしゃい。兄ちゃん、一発どう?
一回二万からだよ。」
アダルト店の呼び込みをされるのを睨む。
きたない、きなたい…。
俺は、夜の街に一人で歩いていた。
いつものことだけどやっぱりここは酷くつまらない。
ただ煩いだけのけばけばしい夜の世界。
時々、喧嘩をふっかけてくるようなチンピラもいるけれどどいつもこいつも雑魚ばっかりだ。
今さら意識を向けるものでもない。
ただ家にいるのはどうしても耐えられないから、こうして意味もなくひたすら歩く。
ぼーっと、ただ歩いていくだけ。
何も考えずに、動けるだけ遠くに。
ふと、辺りを見回してみると今日はいつもよりむしゃくしゃしていたからか、それとも何かを求めていたのか、普段来ることのない通りに出てきてしまった。
「…帰るか。」
誰に話しかけたでもない、ただの独り言が夜の町に浮かぶ。
人通りも少なく、さっきよりも静か。
案外いい所かなとか思っていたら周りはホテルだらけ。
いわゆるラブホテル。
恋人たちが回りを気にせずイチャついている。
その光景にゾワッと体の底から虫酸がはしってそこらへんにあったゴミ箱を蹴り飛ばす。
ガランガランと、無様に転がるゴミを睨みつけると、周りのカップルはヒソヒソと俺を避け始める。
こういう、いかがわしい所は好きではない。むしろ、嫌いだ。
嫌な思い出が蘇ってくるから。
それでもこんなところに来てしまうのは何故だろう。
早く立ち去ろうと思ったその時、視界の端で誰かがラブホテルへ入っていった。
いつもなら、見ないはずなのに
今日は何故だか、目で追ってしまったのだ。
それが俺の最大の間違い
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