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王子さまの裏の顔
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屋上は温かな春の日差しを浴び心地が良い。
眠るかと、床に座ろうとした時だった。
後ろからカチャリと、鍵がかかった音がした。
…え、なんで…?
俺のほかに誰も居なかったはず…。
そう思って慌てて後ろを振り向くとそこにいたのは、中田だった。
「……な、んで…?」
そう呟くと中田は愛想よくニコリと意味もなく笑った。
そして、どんどん俺に近づいてくる。
それが怖くて俺は後ろに、後ずさった。
そして、俺はフェンスに当たってしまい、とうとう逃げ場をなくした。
その間も中田はニコニコと途切れない笑顔でこちらへ向かってくる。
そして、中田の手がこちらに伸び、フェンスを大きな音を鳴らして掴んだ。
「…な、なんだよ。」
真顔のイケメンほど怖い顔はない。
顔の距離が近いまま中田は喋ろうとしない。
ビビらせるように睨むと、中田はようやく喋り出した。
「昨日…俺のこと見た?」
「み、みてねぇ。」
核心を突かれてドキッとした。
その動揺を隠すように慌てて目をそらす。
心臓が大きく鳴り出し、冷や汗が出る。
や、やば、やっぱばれてた!?
「……そっか。ま、図書館まで付いてきたりしないか。ごめんね。」
……ん、図書館?
「ら、ブホじゃなくて…?あれ、人間違いだったのか…?」
………しまった墓穴を掘った。
思わず口を滑らしてしまった。
そろ、と中田に目をやると想像もできないくらい、怖い顔でニヤリと笑っていた。
そして、グイと襟を掴まれる。
「せーいかい。図書館なんて嘘ー。君って自白するバカそうに見えたからかまかけたんだー。」
こ、こわ…。
いつもと口調がいつもと違う。
てか、みんなの王子がバカとか暴言を人に言うなんてありえない。
あまりの豹変ぶりに思わず驚く。
…てことは、昨日のはやっぱり中田なのか!
「っ!てめ、はめやがったな!」
咄嗟に中田の胸ぐらを掴もうとする。
すると中田は俺の腕に手をかけフェンスに固定した。
さっきまでの表情はなく、無表情でただ凄むようにこちらを見つめていた。
「引っかかるのが悪いんじゃない?」
冷たい声が耳元で囁かれた。
その瞬間景色が反転する。
中田に足を引っ掛けられ、押し倒されたのだ。
思わず来るであろう衝撃に歯を食い縛ったけれど、こける直前に背中の下に腕を入れられ地面に打つことはなかった。
こういうところが女子にキャーキャー言われる行動なのか。
ここで呆気に取られいま抵抗しなかった事を後悔することになる。
「昨日、君のことが気になって楽しめなかったんだ。責任、取ってくれるよな?」
「は、何言ってんだよ。それは、お前が勝手にーーーーん!」
顎を引き寄せられたかと思うと口に何か柔らかいものがあてがわれた。
目の前には中田の顔。
切れ長の二重に、長い睫毛、整った顔が近くにあることの意味が分からない。
なんとか胸を押して抵抗するけど、ビクともしない。
こいつ、力強!!
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