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俺の黒を君色で染めて
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「…いたっ……。す、すいませ…」
ぶつかった拍子に倒れてしまった。
ようやく冷静になって辺りを見回すと、
そこはいつものあの通りだった。
結局、俺はここにきてしまうのかも。
ここ以外俺の居場所は知らない。
ここしか、俺を受け入れる場所がない。
ぎゅっと拳を作る。
俯きながら立ち上がり歩こうとした。
ぶつかった相手が腕を引っ張った。
ぐいっとそのまま力なく相手に倒れる。
あ、この匂い。
中田だ。
一瞬でわかった。
勢いよく顔を上げると、そこには
不思議そうに俺を見つめる中田。
俺はその顔にホッとした。
「…どうしたの?こんなとこで。」
「…なんでもねぇ。てかお前こそどーしたの?……また、女と遊んでた?」
ジロリと中田を睨む。
ははっと乾いた声で笑って、
俺を抱きしめる。
「違うよ。ここにいたら恋雪君に会えるかなって。」
キューンって胸が苦しくなる。
俺のこと探してくれてたんだ。
嬉しくて中田の服をキュッとつかむ。
俺の居場所。
あった。
ここだけが俺の居場所。
中田の腕の中だけがきっと俺を受け入れてくれる。
すると中田は俺の耳元に近づいた。
息がかかって変な気持ちになる。
中田の甘いかすれた声が鼓膜を震わす。
「…でも、浮気してるなんて心外だなぁ。
恋雪君には疑えなくなるくらい罰を与えなきゃね。」
そういう中田はホテル街を見つめた。
その視線が艶っぽくて、俺は拒否することもなくただ、頷いた。
俺たちはゆっくりホテルへと進んでいった。
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