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#127
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………光との思い出は…?
…光がいなかったら。
………今までの俺とアイツとの思い出はどうなる…?
……優の中には、俺との思い出なんて何も残っていないんだぞ…?
…あの日の放課後、俺が優に告白して、返事を貰って、付き合うことになって…。
一緒にケーキ屋行って。
俺が襲われたときに助けてくれて。
空回りとかいっぱいだったけど、楽しかった思い出のほうがこんなにもたくさん溢れてくるのに…。
それなのに、優がこのことを思い出さなくてもいいのか…?
……文化祭のことも…。
………そんなの、ダメだ…。
文化祭をなかったことになんて出来ないと思った。
俺にとって、今年の文化祭は高校初めてであり、アイツとの大切な思い出の1つとして強く残っている。
……こんな大切なものを、なくしてたまるものか…!
『……武博?どうかしたか?』
俺が黙り込んだことで、優が驚いた口調で言った。そんな優に、俺が言うことは1つしかなかった。
「……なぁ、優。
…これから会えないか?
俺、お前に言わなきゃいけないことがある…。」
………本当の『優』。
…それは、俺が初めてこんなに好きになった人。
本気で好きになった人。
名前通り優しくて。
サッカーが得意で。
みんなの人気者で。
下級生にもファンがいて。
でも勉強はあんまり出来なくて。
それでも頑張ろうとしてる努力家で。
だけどこれまでの経験のせいで二重人格になってしまって。
乱暴で言葉遣いが荒いときもあって。
だけど、本当はとても優しくて…。
──────────……俺の、初恋。
俺は、明良の部屋を出た。
俺がケータイを返した時、明良は驚いた顔をしていた。でも、すぐに表情がいつもの明良に戻った。
そして、俺の背中を押してくれた。
俺はその明良のパワーと涙を力に変え、外へ飛び出した。
俺は、優の家まで走った。
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