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#3
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「…………好きだ…。」
俺は、強く言った。
荒く言ったんじゃない。俺の気持ちを全て、その一言に込めて言った。
━俺、皆川武博はこの男が…。…山岡優(やまおか ゆう)が好きだ。
「…山岡。俺は、お前が好きだ。…ずっと、お前のことが好きだった。」
「な、なぁ、皆川…?」
「教室にいるときも。他の奴と話してるときも。部活頑張ってるときも。…ずっと、見てたんだ。」
「皆川、顔見たい。…腕、離して…?」
「……逃げたり、しないか…?」
「…しない。だから、1回離せって。」
俺は、山岡を強く抱き締めていた腕を離した。
山岡がゆっくりと俺の腕の中から抜けていくのが、少し怖かった。このまま、山岡が走って逃げていくように感じてしまう。
男に好かれるなんて、気持ち悪いって思うのが普通だもんな…。
…でも、俺の気持ちは本物だ。
山岡は、下を向いたまま黙っている。
「山岡、こっち見て。」
「…………。」
山岡は黙ったままだった。
逃げるタイミングを見計らっているのか。俺は不安になり、再び山岡の腕を掴んだ。
「い、いてぇよ…。そんな強く、」
「じゃあ俺を見ろ、山岡。」
男のくせに長いままの髪が邪魔で、表情が全く見えない。静かに、山岡が顔を上げた。
「…………み、皆川…。」
山岡と、やっと目があった気がした。
…ドキッ
夕日が山岡の顔を赤くしているのか、それとも山岡自身が頬を赤く染めているのか。少し困ったように眉を細め、瞳を潤ませ、形の良い唇が小さく震えている。そして、またしても少し上目遣いで。
それが俺の胸に強く突き刺さった。
もう、自分で自分を止めることが出来なかった。
……だから、それがヤバいんだっての…!
「ち、ちょっと待てって…、皆川…!!」
俺は、山岡の頬に手を添えた。
山岡が逃げられないよう、山岡を壁に追いやり、足の間に足を入れた。もう片方の手を壁に当て、今人気のいわゆる"壁ドン"の形をとった。
もう、俺には山岡しか見えていない。
俺も、山岡も男だけど。
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