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#6
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朝。
俺はいつも通り登校したつもりだった。
でも、他の人から見たらそうではなかったらしい。
「皆川ー、今日なんか変だぞ。」
「え、ううう嘘!!?どこが!?」
「んー、全体的に?」
「いや、意味わかんねぇし…。」
友達に言われたことは確かなんだろう。
俺自身、朝からずっと鼓動が早くなっている。
昨日から、山岡と付き合っていると意識しているからだろう。
でも、他人にこのことは絶対に言えない。
男同士だぞ…?何て言われるかわかったもんじゃない。
いつも通りの朝でも、意識すればこんなにも景色が違って見えるものなのだと知った。
さっきからずっと、周りに山岡がいないか気になって仕方がない。
そわそわしてしまう。
「お、山岡ー!はよーっす!」
周りから聞こえた声に、大きく反応してしまった。
山岡…来た……?
そろっと、後ろを振り返った。見ると、爽やかな笑顔をしながらクラスメイトと話している山岡がいた。
「………ぁ…。」
目が離せなかった。
俺は、普通過ぎる高校生だ。成績も運動も顔もスタイルも中の中。何のとりえもない人間。
そんな俺が、クラスの真ん中で笑っている山岡と付き合っていると思うと、嬉しくて、何だか誇らしかった。
昼休み。
やっと俺は山岡に近づけた。
本当は朝から山岡に近づきたかったのに、山岡が他の男子と一緒に教室を離れることが多く、なかなかタイミングが掴めなかった。
だが、今はナイスタイミングだ。
昼食を食べ終わって眠くなっているのか、机に伏せている山岡に声を掛けた。
「眠いのか?」
「んんぁ…?…あ、皆川…。はよー。」
「…おう。」
俺ばっかりだった、昨日の今日でこんなにも緊張しているのは。
山岡は、昨日のことなんてなかったかのように涼しげな表情をしていた。…まぁ、本人はただ眠いだけなのかもしれないが。
眠そうにうとうとしている山岡の髪に触りたくて仕方がなかった。
昨日知った、山岡の柔らかい髪の感触を、また味わいたかった。
俺は山岡の頭に手を伸ばし、そっと、その少し黒から色の抜けた茶色の髪に触れた。
「……!!」
俺が触れたことに驚いたのか、山岡がいきなり伏せていた体を起こした。
その行動の早さに俺も驚き、お互い目を丸くして見つめあった。
「…ぁ、あはは!何だよ急に~。びっくりしたじゃねぇかよ~。」
「わ、悪い…。山岡の髪って、柔らかいよなーって思って…。」
一瞬だけ驚いた。
もしかしたら、俺に髪を触られるのが嫌なのかと思った。
「山岡、今日部活ないだろ?一緒に帰ろうぜ。」
授業が終わり、下校の仕度をしている山岡に声を掛けた。
「え?…まぁ、いいけど。でも、これからミーティングがあるから、ちょっと待ってて。すぐ終わると思うし。」
「わかった。教室にいるな。」
「はいよ。」
そう言って、山岡は教室を出ていった。
一人教室に残った俺は、山岡の隣の席に座った。
静かになった教室で俺は何もすることがなく、山岡のことを考えた。
……今日の山岡、何か変だった…。
何だか、変によそよそしかったっていうか…。
そもそも、俺らは付き合ってるんだから、山岡が他の男子と一緒にどっかに行くっていうのが、俺はいやだ…。
あいつ、俺と付き合ってるっている自覚あるのか…?
でも、付き合うって言っても、何すればいいかとかわかんねぇし…。
あぁああ…、ったく!!これだから恋愛初心者はダメなんだよ…!!
………クソッ…。
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