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#12
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水道の蛇口を捻り勢いよく水を出すと、その下に頭を入れ、蛇口からの水を直に頭から被った。
……俺…、何してんだよ…。
ここはまだ学校で、教師とか生徒もまだたくさん残ってる。あんなところを見られたら、俺も優も大変だ…。
優は、それを嫌がってたのに…。
……最低だな、俺…。
水を被って大分反省した俺は、髪からポタポタと雫を垂らしながら実験室に戻った。
実験室に置いていた鞄から未使用のタオルを取りだし、ガシガシと乱暴に髪を拭いた。
黒板を見ると、途中まで書いていた実験手順は書き終わっていた。
「チョークの粉、ちゃんと流したか?」
「あぁ。まだちょっと首とか粉っぽくてパサパサするけど…。」
「やぁば!(笑)」
…よかった。いつも通りの優だ。
怒って、俺と気まずくなってしまったと思っていたが、そんなことなくて安心した。
それでも、俺が無理矢理迫ってしまったことの罪悪感は、俺の中に残っていた。
そのせいか、俺のほうから優に明るく接することが出来なかった。
優は、何があっても俺に普段通りに接してくれるのに…。
…俺、マジでありえない…。
このまま優と一緒にいても、お互いの気分を損ねてしまうかもしれないと思い、俺は優より先に帰ることにした。
「帰るのか?」
「あぁ。悪いな。」
「いや、いいんだ。本っ当にありがとな!」
「おぉ!…また明日な。」
俺は優に手を振り、校門を出た。
いろいろやっていたせいで、もう辺りは暗くなってきていた。
夏が終わり秋になってきたというのを感じた。夕方の風が、妙に体を冷たく感じさせた。
ズボンのポケットに手を突っ込み、足早に家までの帰路を進んだ。
あーあ…。本当なら、今日も優と一緒に帰れたのになぁ…。
そう思いながら、ゆっくりと足を進めていると…。
ガバッ
「おぅわ!?な、何!?」
いきなり後ろから来た奴に羽交い締めにされた。
振り返ろうとしたが、後ろからがっちり捕まえられていて、なかなか思うように後ろが向けなかった。
……何こいつ、力強…!
「ちょっと!マジ誰っ!?」
俺が無理矢理後ろを振り向き、相手の顔を見ようとした。
だが、やっとのことで振り返れたのに、一瞬にして俺の目は見えなくなってしまった。
相手の持っていた厚手の布で、俺の両目を覆われてしまったのだ。
そのまま俺は道路の壁に追いやられた。
抵抗しようと必死に相手の体を叩こうとしたが、目が見えない以上何も出来ない。闇雲に振り回していた手も、相手に捕まれてしまい、頭の上で押さえつけられた。
万事休すか、と思ったその時、フワリとある匂いが漂った。
それと同時に、俺の唇に柔らかい感触があった。
「んんん!……ふぅ…、ぁ…。…ちゅっ、…ん、…ちゅうっ……。」
上唇を優しく吸われ、小さく声が漏れる。
…やばい…、これ……。
俺は捕まれていない方の手を伸ばし、相手の顔を見つけ、その頬に手を添えた。
唇が少し離れた隙に、俺は呟いた。
「…………優……?」
そう呟くと、捕まれていた腕が離され、目を隠していた布を取った。
明るくなった視界の先にいたのは、俺の思った通りの人だった。
「……何でわかるんだよ。」
優はガシガシと悔しそうに頭を掻いていた。
「…何となく、わかった。……あと、優の匂いが…したから…。」
「お前は犬か(笑)」
……純粋に、嬉しかった。
優が俺のことを追いかけてきてくれて、ここだって外で人が通るかもしれないのに、自分からキスしてくれるなんて。
俺はそっと、優の体に腕を回した。
「……嬉しい。……来てくれて。」
すると突然、優が俺の腕を掴んで歩き出した。俺はわけもわからず、引かれるほうに歩いていった。
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