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#17
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不安が漂う明良を横に見ながら、俺は優の姿を探した。
優は隣の班だった。
明良とずっと話していて気づかなかったのだ。
遠くにいると思っていたのにこんなに近くにいて驚き、持っていたキャベツを落としそうになった。
優も、同じ班の男子と楽しそうに話していた。
優とクラスメイトの会話なんて、聞くつもりなかった。
でも、後ろで話しているから、思わず聞いてしまった。
「…なぁ、山岡って、どんな子が好み?」
それは俺も、聞きたかったことだ。
もしかしたら、俺は優の苦手だったり嫌いなタイプかもしれないって思っていた。
…いや、付き合ってるから、それはないと思うんだけど…。
「んー。あんまり好みのタイプとかはないけど、強いて言えば、家庭的で清潔感のある人かな。…ギャルとか苦手だし。」
…家庭的…。
俺、料理出来るっすよ!?キタコレ!!……まぁ、清潔感とかはアレだけど…。
つか、これは優の女子の好みだし!俺関係ないし!
「へー。…じゃあさ、好きな子とかいんの?」
「えぇー。それ言わなきゃなの?」
「当たり前だろー。お前モテるし。気になるじゃん。」
「はは、何それ。……いないよ。 好きな人なんて。」
……やばい、なんか俺、すごいドキドキしてるんだけど…。
「それ嘘だろー。」
「嘘じゃないわ。何でそんな疑うんだよー。」
「嘘だぁ!俺知ってるよ!山岡、付き合ってる子いるだろ!」
俺の心臓が、これでもかと言うくらい大きく鳴る。
……もしかして…。バレてる…?
「どっちなんだよー、山岡。」
男子が優の腕をつつきながら答えを求めた。
「…だから、付き合ってる人なんていないって…!」
優が、少し怒ったように強めに言った。
でも男子はそれに気づかず、「なんだぁ、つまんねぇの。」と言いながら再び調理実習を始めた。
俺は、優の今の言葉がずっと頭の中で響いていた。
『付き合ってる人なんていないって…!』
そう答えるのは当たり前だ。 男同士の付き合いなんて、言えるわけない。そんなのわかってる。
でも、優がそう言ったことで、俺はホッとした分、少し悲しかった。
人には言えない。だから誰かに自慢することとか話すことも出来ない。
みんなに見せつけてやりたい。優は俺のだって。
他の奴から、付き合ってる人とかいるのかなんて聞かれなくてもいいくらい、俺らが付き合ってることを証明してやりたい。
……人には見せつけられない分。ちゃんとした、俺らが付き合ってるっていつ実感を感じたい…。
でも、どうすればいいんだろ……。
俺の胸の中がモヤモヤしたままだった。
…ザクッ
いろいろ考えていたせいで、上手くキャベツが切れなかった。
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