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#19 危機
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俺はいろいろと考えた末、今度優を俺の部屋に呼ぼうと思った。
俺は優の部屋に入ったことあるんだし、今度は俺が優を部屋に招待してもいいと思った。
親も仕事でなかなか帰ってこないだろうし、安心だと思った。
……よし!
俺はポケットからケータイを出し、優に連絡を取った。
【今度。俺ん家来ないか?】
【ちょっと用があるんだけど】
……これでよしっと。
我ながらなかなかに無愛想な言葉だなぁ。
もっと柔らかく恋人っぽく出来ないか、と考えたが、俺はもともとあまり温厚な性格じゃない。
そんなのはムリだと諦め、再び家への足を進めた。
普段なら、学校から20分くらい歩いた先にある少し小さめの橋を渡るとすぐの場所に家があるのだが、今日は天気がいいため、土手を下りた草原に座った。
秋になりかけの今の時期。暑くもなく寒くもない、ちょうどいい気温だ。
目の前には、沈みかけの真っ赤な夕焼けが見えた。
…そういえば、あのときも、こんな夕焼けだった。
………俺が、優に告白した日も。
あれからもうかなりの日が経った。ケータイの画面で見ると、今日で付き合ったあの日からちょうど30日だった。
……もうそんなに経ったのか…。…早かったなぁ……。
………優は、今日で30日ってこと、覚えてるかな。
…優のことだから、忘れてそうだな。
……まぁ、そんなのはどうでもいいか。
……… 俺と優のこれからの生活に、幸あれ。
俺は夕日を眺めながら、そう願った。
そろそろ帰ろうかと思い、立ち上がった。
空が暗くなるのも早くなったな、とじじくさいことを思いながら土手を歩いていると、向かいから酔っ払った40代くらいのオッサン3人が歩いてきたのに気づいた。
みんな千鳥足とまではいかないが、少しヨロヨロしながら歩いている。
少し離れたここからでも、酒と煙草の臭いが混ざって異臭となって俺の鼻に届いた。
……まだ明るいうちに、もうそんなになってんのかよ。
俺はなるべくそのオッサンたちを見ないようにしながら、通りすぎようとしたそのとき。
「ッッッ!?」
突然、目の前が真っ暗になった。
俺は声を出す暇もないまま、口を誰かわからないやつの手で塞がれた。
そのまま俺は、意識がすぅっとなくなっていった。
次に目を開けたときに最初に見たもの。
それは、灰色のコンクリートだった。
我に返ってよく見ると、周りにはさっきすれ違った、酔っぱらいのオッサンたち3人がニヤニヤしながら俺のことを見ていた。
よく見ると、ここはさっきの土手の河原のガード下だった。
俺はよく状況を読み込めていなかった。
何で俺がこんなところに。そればかりが頭の中でぐるぐると回っていた。
「………いやぁ。…よく見ると結構可愛いじゃないか。」
「だろぉ。若いっていいねぇ。」
……な、何こいつら…!
「おいおい、怖がってるじゃないか。」
「オジサンたち怖いかい?…怖くないよ?大丈夫だから、力を抜いてねぇ。」
オッサンたちは、気持ちの悪い笑みを浮かべながら、地面に横になっている俺を見下ろしている。
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