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#23
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━━優が、涙を滲ませていた。
「…優……?」
俺は体を起こし、涙を溢しそうな優の顔にそっと手を添えた。
「…わ、悪い…。……武博が、今はこんなことされても嫌だし、怖いこと思い出すだけだってわかってるけど…!………でも、武博が怖い目に遭ってるとき、すぐに助けに行けなくて、守れなかったことが悔しくて…。……あのオッサンたちに触られたところを、全部綺麗に…、なかったようにしてやりたくて…。」
俺のために泣いてくれる優は何て優しいんだろうと、優のことを心の中で褒め称えた。
「……でも、ごめん。…やだよな。あんなことされた後に触られたら。」
そう悲しそうに呟いた優の首に腕を回し、小さく首を振った。
「…………嫌じゃないよ。……嬉しい。…優は、優しいんだな…。」
「俺は優しくなんか…!」
「…優しいじゃんかよ。……俺のために泣いてくれたの、優しかいないよ。…優が初めて。………本当にありがとう。」
俺はそっと、優の唇に口付けた。
そっと触れるだけのキスだった。今の俺には精一杯かもしれない。
でも優はそれを察してくれて、俺を優しく抱き締めてくれた。
まるで、宝物を包み込んでくれるかのように。
「……今はまだ、ちょっと怖いだけ…。俺、女々しいよな。触られただけだってのにさ。」
「…そんなことない。」
「………そっか…。」
「……うん。」
「………ねぇ、優…。」
「…ん?」
「……キス、してほしい…。」
「……………………武博の望みならいくらでも。」
「でも、舌はナシな。…優とあのオッサンとの間接キスは、俺が許せないから。」
「……はいはい。」
それから俺らは、何度も優しく触れるだけのキスを繰り返した。
角度を変えたり、啄んだり、唇を吸ったり舐めたり。
でも、その一回一回が全部熱くて、場所は違くてもオッサンたちに付けられた跡や感覚を全て消してくれるような、そんな優しすぎるキスだった。
しばらくして、時間が八時近くになったことに気づき、さすがに優も帰らなくてはいけない時間になってしまった。
優は少し慌てながら玄関で靴を履いていた。
「…ごめん、なんか付き合わせちゃったみたいで。」
「いや、いいよ。先にやったの俺なんだし。」
「……ぁ、うん…。…優も、気を付けてよ!?」
「わかってる!じゃあな!」
「また明日!」
そう言って優が家から出て行った、と思った矢先。
閉まったはずの扉がもう一度開いた。
「あのさ!武博!」
「な、何!?」
「一つだけ聞きたいんだけど!……今日くれたメッセージの、家に来ないかっていうの、何で?何かあるのか?」
…うわ、それ今日聞くかよ…!
内心そう思ったが、別に隠すことではないと思い、言ってみることにした。
「……こ、この間…。優ん家で、ヤり途中のときに俺が勝手に帰ったろ?…だから、その埋め合わせ的なかんじで、今度は俺ん家に来ないかなぁって思って…。」
…うわぁ…//自分で言ってて、何この恥ずかしい台詞…!
優には笑われると思い、思わず下を向いた。
でも、優は笑わなかった。俺を馬鹿にしたようなかんじでは。
ただ、ニヤリと怪しい笑みを浮かべ、俺の肩を引き寄せ、額と額をゴツンとぶつけてきた。
「……武博からのお誘い…。また今度に期待してる。」
「………お、おぅ…。」
「…………でも。」
「ん?」
「俺らが初めてヤるときは、俺の部屋じゃなきゃやだから。」
優がまた、自分の左側にある髪の毛を耳に掛ける仕草をした。
それを見て、鼓動がまた早くなってしまう俺。
「………な、何で…?」
「……………武博は、俺のモノだから…。……俺の獲物は、ちゃんと俺の部屋で喰いたいから…。」
耳元で囁かれ、そのまま耳をペロッと舐められた。
耳から受けた熱が顔全体に広がっていくのがわかった。
俺が恥ずかしさの余り口をパクパクさせているうちに、優は手を振りながら今度こそ本当に帰っていってしまった。
俺は熱を帯びた顔を片腕で隠しながら、廊下の壁に寄り掛かりながらしゃがみこんだ。
………マジ、ああいうの反則だろ…!
……………てか、ほんとに優…。最近オスっぽくなってきてね…?
…つか、喰いたいって…。… 俺は完璧に餌扱いかよ…。
………優が俺のことを、自分のモノだって言うけど…。
……………優だって、俺のモノなんだから………。
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