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#36
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俺は家に帰ると、濡れた体を温めようと早めに風呂に入った。
俺は、気づけば体の全身が震えていたから。
体が寒がっていると思った。
シャワーを頭からずっと浴びていた。
シャワーは温かいはずなのに、震えが止まらない。
体はお湯に浸かって十分温まった。
それなのに、体の震えが止まらなかった。
風呂から上がると、ケータイに新着通知が来ているのに気付いた。
それを開いた途端、俺の心臓の鼓動が一気に早くなった。
さっきIDを交換したばかりの、香織さんからだった。
鼓動が速まり、ケータイを持つ手がさっきより明らかに大きく震えた。
………そうだよ。
さっきまでの震えはこれが原因だったんだって、知ってたんじゃないか。
…俺は、これを知ることに恐れて、震えが止まらなかったんじゃないのか。
俺は深く深呼吸をし、ソファーに深く腰掛けて香織さんからのメッセージを読んだ。
<武博君、香織です。追加したから、よろしくね!>
[こちらこそ、よろしくお願いします!]
<早速なんだけど、さっきの続きを話せばいいのかな?>
初っぱなから突っ込んできた。
心臓がドクドクうるさい。
[あの、その話って俺が知らないほうがいい話ですか?]
聞くのが怖くて仕方がない。
俺の中の優が、消えてしまいそうで、消えてほしくなくて。
…優は今のままの優でいてほしい。
……………優を、失いたくない…。
<これを聞いてどう思うかは武博君次第だから私からは何とも言えない。ごめんね。>
<でも、あいつはきっと知られたくないんだと思うな。さっきまで私に、なんの話をしてたんだってしつこく聞いてきてたし>
<今まで武博君にこのことを黙っていて隠していたなら、私から言ってもいいのかわからない。>
……つまり、優のことを聞くかどうかは、俺次第ってことだ。
本当なら聞きたくなんかない。
優だって、俺にそのことを黙ってきたんだ。隠していたんだ。聞かれたくなかったんだ。
…知られたくなかったんだ。
俺に知られたら、今のままでいられなくなってしまうっていうことを優は、わかっていたからなんだと思う。
………優らしいな、ほんと。
……………でも。俺は聞きたい。
……………………俺は、優の″恋人″なんだから……。
………俺は信じてる。…優は、俺の知ってる優でいてくれるって………。
[香織さん]
[教えてください]
[優のこと]
………俺は、聞きたいんじゃない。
……………俺は優の恋人として、優のことを受け入れたい。逃げたくないんだ。
………優のことを、信じているから…。
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