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#49
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しばらくの沈黙に包まれた後、俺は沈黙を破り、光に聞いた。
「………俺は、……お前が光だと意識して会ったのは今日が初めてだ…。だから、気分的にははじめまして、になるんだけど、……お前は、違うんだよな……?」
「………………。」
光は何も言わなかった。でも、大きく首を縦に振り、それを返事とした。
………畜生…ッ!!
「……まだ、聞きたいことは山ほどある…。」
「……………。」
「…優が、俺と一緒に出掛けていたとき、確かに俺は優に話していたつもりだったのに、会っていたはずなのに、次の日には優がその日のことを何も覚えていなかったのは…。………………本当は俺がずっと一緒にいたのは、お前だったからか…?」
「……………ぅん…。」
今度はちゃんと返事をして答えた。蚊の鳴くような微かな声だったが、確かに声を聞いた。
「………………じゃあ……。」
ドクドクドクドク……
鼓動が荒々しく鳴り響く。
そうであってほしくないという一心で、俺は喉の奥に突っ掛かっていた言葉を、本当に聞きたかったことを、全身全霊をかけて引き出した。
「………………あの日…。………俺が告白したとき、その返事をくれたのは、本当に優だったか………………?」
「………………………………………違う………………。」
小さい声だったけど、はっきりと聞き取れた。
………………やっぱり、そうだったんだ………。
俺の胸の中に、黒いモヤが広がっていくような感じがした。
俺が、思っていたことが全て事実だったのだから。
俺が想定していた、最低のことが真実だったのだから。
パチリパチリとバラバラだったパズルのピースが埋まっていく。
俺は今まで、そのパズルは完成すると笑っている優の顔が出てくるのだと思っていた。
でも、違ったんだ。
完成して出てきたのは、優の笑顔がバラバラに砕け散っているところだったのだ。
…そうか…、そうなのか………………。
………………俺は……………。
「………………けんな……。」
「………え………?」
「ふッッッざけんなぁッ!!!!!」
ガンッッッ
俺は、プリントやノートが乗っていた机を思い切り蹴飛ばした。その衝撃で乗っていたプリントやノートは床に大きく散乱した。
でも、俺はそのプリントたちにも苛立ちを抱き、床に散らばったプリントやノートをなおも蹴飛ばした。
「……ざけんなふざけんなふざけんじゃねぇよ!!!!てめぇ、絶対許さねぇ……ッッッ!!!」
俺は渾身の力で声を荒げ、目の前のそいつを睨み付けた。
………こいつは、優の形をしているだけの、偽者だ……!
荒げた俺の声は、1度スイッチをオンにするとなかなか電池は切れなかった。
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