アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
#51
-
……………………ぁ………………。
………………違う、死ねとか消えろは…、違う……。
本音に混ざって、言いたいことじゃないことまで言ってしまった。
「ち、違う…、死ねは…、」
「いいんだ。」
俺ばっかりがずっと話していた。
でも、光が口を開いた。
心にもないことを、そして人として言ってはいけないことを言ってしまった俺は、光が怒ったと思った。
でも光は全く怒らず、ひたすら下を向いていた。
………あのときのように、長い髪が邪魔をして表情がよく見えない…。
「………………ごめん………。」
「………………………ぇ……。」
「……本当に、悪かったと思ってる………。」
………………光が、謝った。
「………でも、消えられないんだよ。俺は死ねない。………………俺が消えられて、死ねるのは、優が変わったときだけだからさ…。」
「ち、違う…!……そうじゃなくて、今のは、」
「いいんだって。本音じゃないなんて思うなよ。……俺だって、そう思われて当然だと思ってる…。」
言葉が喉に詰まって上手く言いたいことが言えない。
それなのに光が淡々と話をするから、怖くて余計に言葉が途切れてしまう。
「………姉貴からも聞いてるんだろ…?………………俺だって、好きで出てくるときと、出てきたくなくても勝手に優が俺を呼び出すときだってあるんだよ。………俺にだって、どうすることも出来ないんだよ……。」
そう言う光の声が弱々しすぎて不安になる。
………光って、こんな奴だったのか…?
香織さんは、乱暴な奴だって言ってたけど……………。
どうすればいいのかわからなくなって、俺も床を見つめ、目を泳がせた。
「………………………………………もう、傷つけない。………………だから……。」
光が小さく呟いた。
そう光が呟いたのを聞いた次の瞬間。
「………ぇっ!?…ちょ、何すん…………んんっっ!!」
離れていたと思ってた光が目の前に現れ、俺の両方の手首を掴み、教室の壁に俺を押し付けた。開いた俺の足と足の間に優の長い足が入り、身動きが取れなくなる。
そしてそのまま、無理矢理俺の唇に自分の唇を重ねた。
唇を割って入ってくる舌が、俺の舌と絡まる。
「んんぅ……、はぁ、ふぅ…!」
抵抗しても出来ない。逃げたくても逃げられない。
光の力が想像以上に強く、腕を揺さぶることも出来ない。
これが、光……?
改めてこれが優ではないことを思い知らされた。
……………………怖くて仕方がなかった。
俺は今まで、この唇とキスをしてきたはずだ。
なのに、俺とこいつの気持ちが向き合っていないから、同じ唇のキスでも全く気持ちよくない。
気持ちが、通い合っていないから……。
恐怖と悲しみで瞼を強く閉じたとき、溜まっていた涙が出ていた一気に頬へ流れ落ちた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
52 / 162