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#83
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「…どうして……、そんなこと言うんだよ…。」
俺が絞り出した声に負けないくらい、俺を問い詰める明良の声も震えていた。
明良も香織さんも驚いている。
何でそんなこと言うんだって顔をしているのがわかる。
でも俺はその2人とは反対に、とても落ち着いた口調をしていた。
「………だって、そうしなきゃ……、…また……、優と光が苦しむ…。」
「………………タケ…、お前、自分が何言ってんのかわかってんのか…?」
荒ぶっていく明良の声。
込められる意味が何を言いたいのか、すぐにわかる。
でもそれを聞いても、俺の気持ちは変わらなかった。
「…わかってるよ……。
…………それに、明良だってそう思ってるだろ…?
…………″俺が悪いんだ″って…。」
「…はぁ…?…タケ、勝手に何言ってんだよ……。」
明良が怒っている。
そうわかるのに、俺はとてつもなく冷静だった。
優と光の話をしているのに。
優と光のことを助けたいって思ってたのに。
………俺は今、どんな顔でこんなことを言ってるんだろう…。
気づけばいつの間にか、涙は止まっていた。
「………だって実際にそうだろ?
…俺が優に話したから、優が苦しんで倒れた。
俺が光に自分から別れ話をさせるようなことを言わせた、だから光が傷ついてた…!
……そう明良に話しただろ…?」
「…だからって、それが何でもう2人には会わないってことになんだよ!?」
「………だから…!
…俺が傷つけたッ!全部俺が悪いッ!
…そんな俺がまた近づいたら、また絶対に壊しちまう!また苦しめる!
そうしたくなくても、俺が無意識のうちにあいつらを壊しちまうんだよ!
………なら、………俺なんていないほうがいい………。
………記憶喪失…?………はは、ちょうどいいじゃん…。
……これを機会に、俺のことなんて全部忘れちまえばいい…。
優にとっちゃ、俺となんて他の奴と変わらない普通の関係、生活だったんだ…。
……記憶から俺がいなくても、別に何の支障もないだろ…。」
「………タケ、やめろ……。…………これ以上は言うな。」
「 …光は、俺のことを大切にしてくれてたっていうのはわかってる。
……でも、最後があんなんじゃ、俺との思い出がよかったか悪かったかどうかって言ったら、よくなかっただろ…。
……後味最悪な思い出なんて、捨てちまえばいい…。」
「……………タケ…。……タケ、やめろ…。」
「…どうせもう、あいつらは俺のことなんて覚えてないんだから…。」
「タケぇええッッ!!」
ガンッ
叫んだ明良が俺の胸ぐらを掴み上げた。
そして、見たことないと言ってもいいくらい険しい顔で俺を怒鳴った。
「…てめぇ、いい加減にしろよ…!」
こんなにも怒っている明良を見るのは、初めてだった。
それでも、俺はまだ冷静な言葉を紡ぎ続けていた。
「……そう思ってんだろ…、明良だって……。
…………俺がいなければいいんだって…。
…ほら、…そう言えよ、カッコつけてんじゃねぇよ…。」
そう明良を見上げながら言う。
すると、明良は俺の胸ぐらを掴んだまま、俺の体を床に叩きつけるように降り下ろした。
その勢いで俺は以前痛めていた右肩を床に強く叩きつけてしまった。
「ぅあぁッ!」
思わず右肩を庇うようにして手で覆う。
床に這いつくばるようにして痛みに耐える俺を上から見下ろしながら、明良が叫ぶ。
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