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#124
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「……いや、そうじゃないよ…。」
我ながら下手くそすぎる嘘のつき方だと思った。
それは明良も思っていたようで、これまた大きく溜め息をついた。
「嘘つくなって。…俺らの付き合い舐めてんのか?タケのことなんて、見てればすぐにわかるっての。……ほれ、言ってみ。今日はマジで何もしないから。」
…さすが明良だな、と思いながら、俺は渋々話すことにした。
「………昨日のこと、優にこちゃで謝ったんだよ。…ごめんっていうの送ってさ。」
「へー、偉いじゃん。…つか、やっぱ優じゃんかよ。……それで優は何て?」
「………………まだ、返信が来てないんだよ…。」
「…え、マジか……。」
明良の表情があか抜けていた表情から真面目な表情へと、一瞬にして変わったように見えた。
俺にはそれが怖くなった。
いつもチャラけてる明良が真面目な顔するんだもん…、不安になってくるよ…。
話す声が少し震えた。
「しかもアイツ、俺がメッセージ送ったとき、俺と同じようにこちゃの画面開いてたみたいで、俺が送った後すぐに既読がついたんだよ…。…でも、既読がついたのが昨日の7時半くらいなんだけど、まだアイツから返信が来てなくて…。」さ
「……それは、…キツいな…。」
「…ほんと、俺、ごめんっていうのしか送ってないんだよ。…アイツが返信しやすいように簡単にしたわけじゃないけど、でもッ、返信に困るような文なんて打ってないんだよ!?」
俺は明良に、優との個人チャットの画面を開いてた、俺が送ったメッセージを見せながら話した。
「…確かに…。」
「だろ!?…なのに、何で……。……俺、すんごい心配で…。俺、優に酷いことしたってわかってる!わかってるから連絡して謝りたいのに、アイツからそれを拒否ってて…!……もう、俺になんか会いたくないってことなのかな…。」
気づけば、座っていた明良のベッドのシーツをくしゃっと握り締めていた。
声もおかしいくらいに震える。
心の中で不安に思っていたことを口にすると、それが改めて身に沁みるようで、優がもう俺になんか会いたくないと思っているかもしれないというのは1つの可能性だと思えていたことが、確信に変わってしまったように思えた。
「……ダメなんだ…。……1人でいると、どうしても優のことばっかり考えちゃうし、それでいて前向きな考えなんて出せなくて不安になってばっかりで……。…それで、気を紛らせようと思って…。」
「……だから俺に電話してきたのか。」
「…うん。もう、どうしたらいいのかわかんなくて、いてもたってもいられなくて……。」
「…ったく、こういうときばっかり俺のとこ来てさ。しかも俺の気持ち知っててやってるとか、人の気ィ考えてないって点だと、タケも優といい勝負だよ。」
「うぇえ!?…ごめんな、ほんと。」
「…冗談だよ。……で、これからどうする?」
「…わかんない。……どうすればいいと思う?」
「謝る。」
「だから、それはもうしたって!」
今まで何を聞いていたんだと突っ込みたくなるくらい、明良は大真面目な顔で答えた。
でも、その次に返ってきた言葉には、ちゃんと考えがあった。
「じゃなくて、電話でさ。」
「電話?」
「そう。…まぁ、もし無視られるのが心配だったら、俺のケータイからすればいい。」
「明良のケータイから?何で。」
「俺は特に優と何かあったわけじゃない。最後に会ったのは、ここで3人で写真見た日だからな。…でも、お前はそうじゃない。タケのケータイで電話したとして、優が本気でタケのことを怒ってるんなら、そりゃータケからの電話なんか出ないだろうな。俺だったら出ないもん。」
…ごもっともな考えだ。
「でも、俺だったら、優に無視られる理由なんてないから、ちゃんと電話に出てくれるだろう。んで、もし優のケータイに繋がらなかったとしたら、優のケータイに何かあったってことだ。昨日の夜にタケからのメッセージを読んだ後、返信しようと思ったけど、ケータイが壊れただとか何かあったら、返信なんて出来ないだろ?…だから、俺のケータイから電話するといいさ。」
なるほど。
明良にしてはしっかりしたことを言った。
俺は「そうしよう」と言って頷き、 明良のケータイを手にした。
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