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蒼の章7
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身体に障害があったり醜いあざや瘤があったりする人と出会った時に、失礼にあたると物凄く気になっても気付かないフリを装ったり、私は偏見などないよと《敢えて普通を装う》…。
偏見というと勿論語弊があるだろうが、健常者との差異を目の当たりにするとそれは結構な驚きで、自身の内面は嵐の様に乱れているのに、それを内に押し留める。
東京さんの息子の事もすぐに頭の片隅に追いやられた。
その時の俺にもそういった心理が働いたらしい。母親の哀しい笑顔を見たせいで、彼のことを無意識に考えない様にしていたのかもしれなかった。
だが、最近気付いたのだ。
東京さん一家が来て一月後あたりから、動物虐待事件が起こり始めた事に。彼がやったとの確証はない。それに、彼とは限らないのだから周囲の人間も家族以外では完全には信じられなかった。
何故か、事件が気になって仕方がない。
予感めいたものが早く早くと俺を背後から急き立てる。
何故こんなにも焦燥感を感じるのか。
この町の平穏を乱されたから、そんなありきたりな理由は当てはまらない。
それに、気になるのは東京さんの息子だけじゃない。
定食屋で出会った眼鏡の男。
アイツが言った言葉が頭をぐるぐる回っていた。
『…追うな、死ぬぞ。』
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