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蒼の章8
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アイツは何者だったんだろう、何故俺にあんな事を言ったんだ?
まさか犯人て事もないだろうが、あの定食屋は隣町…。
事件現場と離れてない。
いいや、考えると誰もかれも怪しい。
一定周期でやや惰性的に職安に来て就職活動をしている俺は、狭い格子状に仕切られたブース席に押し込められ、パソコンと向き合い求人検索システムを使いながら、頭の中で自問自答する。仕事探しは全く身が入らないし、近頃じゃ何故か仕事なんて俺の人生には不要とまで感じる。
理由は分からない。
これがニートの始まりかと苦笑しつつ、半年は社会保険が月に15万入るし貯金も300万以上あるんだから仕事はゆっくり探すんだ、と自分に言い訳する。田舎を出て都会に行き、挫折して戻って来たなんて親にとっては不名誉な息子だろう。申し訳ないと本気で思っているのだが、仕事なんてどうでもいいと思う自分がいる。
俺は今、事件を、犯人を、知りたいんだ。
ふと、あの定食屋に行けば眼鏡の青年に会えるんじゃないかと考えた。
いてもたっても居られなくなり、ブースを後にすると就職活動をしたという証拠の判子を貰いあの定食屋へと急いだ。いつもは惨めな気持ちになる捺印作業も今日は気にならない。
眼鏡の青年はいるだろうか?
息を切らしてガラス戸を横へとずらし店内を見渡す。
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