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蒼の章10
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テレビを見ると緩いニュースが流れている。
例のアナウンサーもニコニコしていて、この停滞した現実にケリをつけるのにいいタイミングだと思った。
そう決めると食欲が急に湧いて、冷たい冷やし中華を頬張った。これで、いい日になりそうだと思った。
それなのに。
あの声。
アナウンサーが声色を落としたのだ。
もう何が聞かされるか分かった気がした。
聞きたいようで聞きたくないような 、……自分の中で葛藤する 。でも結局、やめたほうがいいと思うのに聞くことを止められなかった。
ああ、やはり事件だ。
今度は犬。
俺は動きを止めて信じられないといった心境でモニターを見上げた。
信じられない、というのは事件内容には既にあたりがついているのに予定調和的に整えられた道に強制的にもどされたような…何か大きな流れに揉まれていて、自分では何もできない閉塞感に似ていた。
嵐に翻弄される舟のような危うさを感じるだけ。
真っ黒い巨大な黒い腕に捕まった気がした。
…ほら、また近所だ。
6匹の頭はやはり石で潰されているはずだ。
一体犯人は誰なんだ?
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