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玄の章12
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その日は、結局無駄に歩いただけで徒労に終わった。
現場近くの霊に聞いてみるという方法もあったが、関わりを持って変な縁が増えるのは避けたくてそれは止めた。
次の日、大学に行こうと思ったが、自分にしては珍しくうだうだとして外出を躊躇い結局サボってしまった。
少ししてテレビを入れると、例のニュースの続報が流れている。
猫より先に殺されていたらしい兎の死体が見つかったととの話題で巷では持ちきりらしい。
何かヒントが無いかと目を凝らして気付いた。
雨宮家のテレビに送られてきたニュースでは、確か兎、猫、犬と言っていた。だが、いくらニュースを見ても殺されたのは兎だけ。おかしいと思い他局のニュースも見るが同じで、アナログ画面に映ったアナウンサーのいる局番に戻す。……まさか、未来の映像だったのだろうか?一瞬差し込まれたカラー画像を思い出すと、局アナが着ていた赤いワンピースを思い出した。
昼頃になると、猛烈に冷やし中華が食べたくなって、大学をサボったくせに敢えて最高気温が記録されそうな猛暑の中外に出た。
脇道に入り、少し寂しい通りに出ると定食屋があった。
ここでいいか、と狭い店内の奥に陣取り冷やし中華を頼んだ。
店内には工務店勤めという感じの中年男が二人いるだけだった。
脈絡無く生活リズムが崩れる時は、何か手掛かりが発見できるかもしれない時で、逆らわずに従うのが得策なのだが、今のところ変化はなかった。
しかし、一番最後にやって来てカウンターに座った男を見るなり雨宮は目を疑った。
男の頭が靄に覆われていたのだ。
動揺して思わず視線を外す。
まだ、彼は顔が見えている。
助けられるかもしれない。
ゆっくり視線を戻すと、靄男の背後に頭の潰れた動物達の映像が浮かび上がり、観覧車の様にグルグルと回り始めた。
これは一体何なんだ。
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