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苦色の章2
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オトコガ振リムいた。
キズカナケレバ、一息で殺セタ。
面倒ダと思イナガラ、肩を押しテ突キトバシ、仰向け二倒シタ。
面白いクライ吹き飛んデ動けナイ。
見付けてオイタ石を拾っテ立ち上がル。
「四十九院明希!」
男が誰かの名を呼んだ。
いや。
それは俺の名前。
頭を抜ける刹那の光。
知らずに振り上げられ、振り降ろされている大きな石。
その軌道を左へずらした。
重たい音。
彼の耳横に石は着地し、斜め上へ不規則に回転しながら弾け飛ぶ。
そうして俺は見ず知らずの男の頭を割らずに済んだ。
混乱し呼吸が上手く出来ない。
蟻だ。
蟻が来たんだ。
頭に霧がかかる。
また、薄れつつある意識のなかで、殺そうとした相手を見た。彼の眼を見た。虹色の瞳。彼の体から波立つ様に金色の光が放たれて薄く輝いているのが分かる。
オーロラみたいだ。
そして交錯する。
彼が俺に深く入り込んで来る。
こんな経験は初めてだ。
二つの闖入者が俺の意識に同時に存在している。
ジージージージージージージージージー
ノイズが酷くなる。
ノイズから身を守る為に作った断崖に身を隠す。
いずれここにも蟻は来る。
過ぎ去るまで待つ。
ジージージージージージー
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