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苦色の章13
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ズドドドド……!
一瞬後、階段の真上で背後から猛烈な体当たりを喰らい、恋人達は1メートル程空を飛んだ後、階段をおかしな体勢で一気に下まで転げ落ちた。声も上げなかった。
ただ自分達の骨が砕ける音を内側から聞いた。
アリスはゆっくりと階段を降りた。
アリスの小鳥は下劣な女の下敷きになり、目を見開いて死んでいた。手足が変な方向にまがっている。
アリスは悲しげな眼を向けた。
彼は笑うと爽やかで、照れ屋な一面があった。
思い出が蘇る。
鳥籠から小鳥が飛んで逃げた様な悲しい気分だ。
……ゲヘゲヘッ
下劣な女は辛うじて生きていた。
腕か肩を脱臼したか骨折したかして身動きが取れないようだ。鼻血を垂らし、口の中は真っ赤で咳き込むと血飛沫が一緒に飛んだ。彼女はアリスを見た。
誰?どうして?そんな目だ。
自分に降りかかった災厄を理解出来ないでいる。
アリスは汚物を見るように眉をしかめた。
彼女に近づき頭側に回った。
医療もののドラマみたいにブルーのラテックスの手袋をつけた。観察をする時、証拠が残らないよういつも数組バックの中に潜ませているものだ。
それから、彼女を背中側から抱え上げて無理やり上体を起こす。身体が痛むのか女はくぐもったしゃがれた声を発した。
バハッーーバハッーー…
苦しいのだろう、変な呼吸音を発していた。
汚らしい金髪。そう思いながら女の側頭部を胸の前で挟み込むようにした。
そして一気に頭を背面に向けて回した。
遊園地のコーヒーカップに乗った時、中心の円盤を回すと速度が上がる。あれの要領で、瞬発力を最大にして。
くたん、と女の頭が力を無くして垂れた。
アリスは女を地面に放り出す。
映画の様には行かないが、ちゃんとあの世に行った。
アリスはゆっくりと立ち去った。
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