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榛の章15
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考えてみれば、明希には友達の1人も居ないのだ。
私には明希がいれば良かったけれど、明希には人並みに友人がいてほしい。私は先に逝くのだから。
メロンを買ってやり、本屋ではファッション雑誌を買い、ランチを一緒に食べて帰った。
何て楽しくて、幸せな1日だったのか。
いきなり布団の中で目が覚めて夢オチだなんてなったら立ち直れないほどだ。
帰ると、早速充電してその間に説明書を読んでみたが、苦手意識からすぐにギブアップしてしまった。
唯一、互いの電話番号だけはショップの店員に電話帳に登録して貰ったから、電話をかける練習だけした。
明希は二階に行って私はダイニング。
明希という名前が画面に表示されて音楽がなり、慣れない手つきでようやく出る。
「はい、お母さんです」
「明希だけど、下に行くからメロン切ってね」
そんなくだらないやり取りをしながら、その日1日家族2人で楽しんだ。そう、私の家族は明希だけ。
最初から、明希だけだった。
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