アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
茜色の章1
-
早川カイリは大学にいた。
わざと遅れて混雑した講義室に入ったフリをして友人達から離れた後、こちらに気づいて手を振る友人達に離れて座らねばならないことを残念そうな表情を作って小さく手を振り返してアピールする。
最後列の皆を見下ろす席に座り講義を受けながらペンケースを支えにしてスマホを立たせ起動させ、少し離れた斜め前の席に座る雨宮亮の姿を隠し撮りし始めた。
カメラや録画中に起動ランプや起動音がならないアプリを手に入れていてそれを重宝していた。
雨宮亮は今日も半ば無表情で、彫像のように整っている。
どの角度からでも分かる。
雨宮亮は骨格からして美しい。
どうして彼にこんなに惹かれるのかわからない。
神か悪魔の創造物なのかもしれない。
どこかが普通の人間とは違うのだ。
普通というのは下層と同意義語だ。
自分も昔から可愛い可愛いと褒めちぎられて来た。
実際私は可愛いと思う。
男はいつも言い寄って来る。
それに頭も悪くない。
大きなぱっちりとした二重。愛らしい唇。色は白く、細い身体に胸は大きくスタイルも良い。
それでも、雨宮亮のレベルと比べれば天と地だ。
雨宮は知っているのだろうか。
講義を受けに来ている女子学生の半分以上は雨宮目当てだという事を。男子生徒のうちの何人かも女子生徒と同じ感情を抱きこのクラスを選んでいるはす。
だから、私は心配。
ダニ共が、私の小鳥の周りをうろついて病気を移すんじゃないかって。
私はダニ共から彼を守っている。
私とつがいになる筈の特別な小鳥を。
講義中にチラチラ雨宮亮を盗み見るダニ。
堂々と見るダニ。
ダニ。
ダニ。
ダニ共。
けれど、私はあんた達とは違う。
行動力も、想いの強さも。
そして決定的に違うのは、雨宮亮と私の間には出逢うべき運命がある事。小鳥を始末してから分かった。
私には他と違うチカラがある。
それは、運命に向かって駆け上る様なチカラ。
雨宮亮と私を繋ぐ糸。
証明してみせる。
意識を集中して雨宮亮の背中にいっぱいの愛を送った。
こっちを見て。
亮、こっちを見て。
見て??
すると、雨宮亮はピクリと反応しゆっくりと後ろを振り返った。2人の視線が交差する。
彼はすぐに前を向いてしまったけれど、証明出来た。
これが運命なの。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
87 / 159