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茜色の章4
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タクシーを降りた。
舗装された土手を下り、角の取れた丸い石が転がる河原にやって来た。約束の時間より早かったようで、四十九院はまだ来ていない。
河のせせらぎの音を聞きながら、出逢った場所にまで辿り着き腰を下ろした。
相変わらず長閑な雰囲気だ。
30分が過ぎた。
足音が近付いて来る。
安定した白い気配にホッとする。見なくても分かる。
四十九院明希だ。
「雨宮、待った?」
前回会った時より情緒豊かな声。
雨宮はゆっくり振り向いた。
そして驚く。
四十九院明希は変わっていた。
想像するに、母親に連れられて理髪店に行き彼の意思に関係なく整えられていた髪は、明らかに垢抜けてさっぱりしていた。服装も髪型と同じくラフな感じに変わっている。
そして人懐っこい満面の笑みで隣に座った。
前回蟻を追い払った事で四十九院に劇的な変化が訪れていたのだ。これが今の四十九院のキャラクターらしい。
雨宮はすぐには反応出来なかった。
「…たった3日で随分変わったな、お前。」
「だから、明希!明希って呼んでよ。」
「とにかく、一瞬誰かわかんなかったよ。前はズボンにシャツがインしてたし、おっさんぽいベルトだし…。」
「何もかも深く考えられなかったからね。蟻に喰われかけてたからさ。今は凄くすっきりしてるよ。それで、会って早々なんだけど友達になってよ雨宮。」
「は?」
「だから友達になってよ、雨宮。」
侵食うんぬんから趣旨がズレている気がするが、押しの強い四十九院に迫られてつい雨宮は頷いた。
そういえば、この押しの強さだけは前回会った時には既にあった気がする。次会うのは1週間後と言ったのに、3日にされたんだから。
まあ、1週間と言った雨宮自身が、思ったよりも四十九院の事や蟻の事が気になってしまっていたから結果的には良いのだが。
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