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茜色の章9
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こうなると分かっていて四十九院が急に手を握った事に腹をたて、準備していなかった身体は悪酔いのような気持ち悪さに満たされながら明希を睨みつけた。
明希は急に怒られた犬みたいなシュンとした表情になって謝ってくる。
悪気が無いのは分かっているのに悪態をつき責めそうになった自分をどうにか抑える。
心象の中だから雨宮の魂しかそこに無いはずだが、雨宮が有ると意識しているものは自然とそこにある。しかめっ面のまま眼鏡を外すと目頭を揉んだ。
四十九院が下から覗き込んでせわしなく謝り続ける。
わかったわかったと言いながら明希の頭を手で押えて距離をとる。ようやく落ち着いて、これからは急に触ったりするなと警告し、ウンウンとやたら頷く四十九院を不機嫌に眺めてから微笑み許した。
改めて周囲を見渡す。
3日ぶりにやって来た四十九院の世界は自然域が広がり、草花の色や種類が以前より増えて、簡単に言うと色が増えた。
美しい心象だ。
健康そのものだと確信し、動物を殺す犯人の欠片が無いことを細部まで見て終わりにする事にした。
四十九院に頼んで、一度だけ干渉を受けかけた時のことを説明してもらうと、明希は先頭に立って歩き出した。
四十九院のたった3日の経験が沢山の草花を増やした。現実には無い植物だが可憐な花がそこかしこに咲き乱れている。四十九院の本来の明るく穏やかな性格を象徴しているようだ。やがて緑がまばらになり例の崖を下りきると、白い世界が占める場所にたどり着き、そこから暫く進むと白い砂の砂漠の様な場所にやって来た。これはこれで美しい光景だ。サラサラ崩れる砂丘を進み、とある一角にたどり着く。少し先の足元に直径1メートル程の真円に近い黒い穴があり、その穴の3メートル程手前で明希は立ち止まり指さした。
「そこから蟻が来た。追い出したけど、完全にじゃ無い。この穴は蟻と俺を結んでるんだ。」
真っ暗な穴。
雨宮が覗き込もうと近づくと四十九院が慌てて止めた。
悪いものがいるから危ない、まだ、他人の心を占領していると気付いて無いから大丈夫だと言う。
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