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茜色の章10
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真っ暗な闇。
ぽっかり空いた闇を抜ければ、犯人の心が覗けるのだろうか?
コーー・・・・・
小さな頃、田舎で母と一緒に入った所謂ぼっとん便所。
鼻をつく悪臭もキツかったが、それ以上に便器の奥の真っ暗な汚れた穴になにか恐ろしいものが潜んでいるようで怖かった。
そこには霊も祟り神も居なかったのに。
ただ、足元に落ちそうな穴があり、その奥から何処から吹き込むのか恐ろしげな風の音がしていたのだ。
コーー・・・・・・・
ゾクッとして更に数歩後退した。
ふと穴から風が吹き頬を撫でた。
思い出していた内容のせいで、ついアンモニア臭がするような気がして身構えたが、実際は少し違う臭いだった。
少し生臭い。
途端に、潰された動物の頭のイメージが溢れた。
それに混じって何かの食べ物の匂い。
それが逆に拒絶を産んだ。
「……この中に入れば、犯人の事がわかる筈だ…。でもこの闇の中は犯人の支配する世界だ。直接触れる訳じゃないから通常通りの情報は得られないだろうけど、犯人に近づくチャンスになる。」
……だが。
失敗すれば自分の魂ごと餌食になる上、もし"魂"などの目に見えない存在が実在すると犯人が知ってしまえば、今はまだ雨宮や四十九院の事も知らない筈だが精神的な攻撃を仕掛けてくるかもしれないし、逆にこちらの弱点や情報を取られてしまうかもしれず、軽はずみに飛び込むのは危険だと自分にストップをかけると、背中にぽっかり空いた闇を感じながら四十九院と二人背をむけて来た道を戻り始めた。
「ダメだよ、雨宮。危ないよ。変なこと考えないで。」
「流石にコレは俺だけの問題じゃないから明希に相談無しに穴に入ったりはしないよ。」
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