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茜色の章12
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「…………やめッ…ろッ!馬鹿!!」
四十九院の肩を押して唇を離したが、前回より動揺が強い。
脈拍に合わせて体全体から放射状に霊気が放出されて、それは自分にもはっきり見えた。心が隠せない事がこんなに恥ずかしい事だと初めて知った。ずっと支配され続けて曖昧な世界を生きてきた筈の四十九院が、何故キスなんかしようと思いついたのかわからない。
四十九院は放たれる光を恍惚として眺めているが、それがまた雨宮を腹立たせた。
前回と同じように手の甲で唇を拭うとキッと四十九院を睨んだ。
「お前ッ、…………舌入れたな!!いくら…いくら現実じゃないからってっふざけるなよ明希!」
「ふざけてないよ。前回もしたよね、チュウ。実際キスしてから雨宮から凄い霊気の吹き出してるし。何か関係あるんじゃないかな?」
真っ直ぐ見つめられそう言われると、まるで自分だけが意識しているみたいで恥ずかしくなる。
どんどん顔の温度が上がって落ち着けと思うのに霊気は勢いを増して四十九院の世界、主に空にあたる部分に散り水晶石みたいに燦爛と弾けて無数の星のようだ。
こんな事、現実世界でやられたら大変だ。
そんな趣味はないし、今日はきちんと教えておかないといけない。
「絶対これとキスは関係ない。それに、キスは好きな人とするもんだからな。」
「じゃあ合ってる。俺、雨宮の事好きだもん。」
「だから…違うって…そのうち明希にもいいなって思う女の子が現れて恋愛する。キスはその相手としろよ。俺は男。わかるだろ?」
「男だとダメ?恋愛にならないの?」
「駄目。ならない。男同士は友達まで。」
最後はちょっと嘘をついた。
同性愛者だって世の中には沢山いて、その人たちが異常という訳ではない。だけど、世間知らずの明希に手っ取り早く教える為にそう言った。四十九院が少ししょんぼりしたのがわかる。
チクリと罪悪感が胸を刺したが、仕方がない。
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