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茜色の章13
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「とにかく、キスはやめろ。こんな小さな街で誰かに見られでもしたら、お前は良くてもお前の両親が居づらくなる。世間体は大事だ。噂立てられて不必要な干渉受けたくないだろ?」
誰かに見られたら、雨宮だって困る。
四十九院は馬鹿な訳ではない。単に自分でいられる時間があまりにも少なくて常識が追いついてないだけだ。3日でこんなに変わったみたいに、付き合う人間もこの先変わる筈だし雨宮に懐いているのも好きだというのも一過性のものだ。
家族を引き合いに出したのは冷静になってもらいたいからだった。四十九院は少し考え込んで頭を掻いた。
「……でもやっぱり雨宮が一番好きなんだけど、それっておかしいの?」
「好きにも色々ある。お前はまだ使い分けられないだけ。それと、俺の事にこだわっているのは俺が明希の状態を理解していて、同じような力を持っていて、同じようなペナルティを受けてたからだ。あと、アレだ。お前はひよこだ。」
「ひよこ?」
「そう、ひよこ。初めて見た物を親だと思ってしまうってやつ。たまたま、頭がすっきりした時にそばにいたのが俺だから好きに思えたんだろ。」
「…そうなのかな?雨宮の綺麗な虹色の眼とか金色の光をまとう姿に夢中になったのは確かだけど、俺は雨宮の魂も肉体も好きなんだ。絶対愛してるんだと思うけどな。」
「会ったばかりだし、それは気のせい。」
「一目惚れってあるじゃない。でも、雨宮がそんなに言うなら気持ちを確かめてみるよ。」
男に愛してると言われるのは奇妙な感覚だ。
一目惚れなんて雨宮はした事がないし、そもそも雨宮には恋愛した記憶すら思い当たらない。自分に思春期がなかったわけではないが、周りの性的欲望を浴びたせいでそういう事に潔癖になったくだりは否めない。自分が恋愛感情を抱くのも相手を汚している様に感じるし、無意識のうちに避けていたというのが正解だ。
なのに四十九院は堂々と好きだの何だの言ってくる。
その好意は本物であると触れた時に既に知っている。
今は色々と混乱している為、好きと愛してるの判別が出来ないのは理解しているつもりだ。だからこそ、友達というラインまでは許した。明希は嘘をつかないし、裏表が無い初めての人間なのだ。
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