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茜色の章15
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俺の中から現実世界に戻ると雨宮が言った時、心の何処かで帰したくないと思う自分がいた。
意識が朦朧としていた頃はまるでロボットみたいに決められた行動を繰り返すだけだったけれど、雨宮と出会ってからの三日間はまるでメリーゴーランドみたいにめまぐるしい。
憂鬱で否定的な感情ばかりが大半を占めていて、数々の占領者の影響か夢とか希望とか友情とか愛情とか…そういった陽の感情は自然と抑えられてしまい、理解すら難かった今までは死んでいたのとなんら変わらなかった。
全てが美しく輝いて見えた。
本当に世界は素晴らしい。
でも、1番綺麗なのは雨宮だ。
俺の世界に雨宮を呼んだ時一瞬だけ見えたアレはなんだったんだろう?雨宮の背中から宇宙の果てに続く文字のような模様のような、鎖のような翼のような…。
思い出すと震える程完璧な美、雨宮そのものの…形容しがたい何か。雨宮にはその事は話していないが、きっと雨宮の能力と深い関係があるのだろう。
虹色の目。
金色の光。
どうして雨宮を好きじゃいけないのだろうか?
キスした時とても幸せだった。
何故そうしたいと思ったのか良くはわからない。
でもこの広い世界で文化はそれぞれ違うのにキスはある。
昔番組で見た。日本のキスは口吸いと言って昔からあったものだ。
異文化からキスが伝わってきた訳じゃない。
SEXと同じだ。
唇を求めるのは本能に組み込まれてる事なんだ。
犬が好意を伝えるのに口を舐めて来たり尻尾をちぎれんばかりに振るのと同じ。
生殖行動なんて意味の無い事だと思った。
でも、男同士ならどうだろう?
子孫を残すという細胞の思惑に支配されていない、純粋な愛じゃないだろうか?
河原に寝転び、隣の雨宮の体調を気にしつつ黙っていられなくて思った事を話した。
「ねえ、雨宮。俺はSEXって細胞に支配されて時期が来たら発情して子孫を残すっていう意味のない単なるメカニズムだと思ってたんだけど」
「……いきなり何だよ?」
「男同士や女同士は子供が出来ないでしょ?だとしたら、その愛は細胞の思惑に支配されてない本物の愛じゃないかなって思ったんだけどどう思う?」
「………またそういう話?支配ならされてる。生殖活動に子孫を残さない相手を求め合うような両者は遺伝子的に欠陥があるから、逆に子供なんて残さないでその代で淘汰されるようにできているんじゃない?」
「………え……、ああ、そう。」
がっかりして肩を落とした。
俺の雨宮への気持ちは欠陥なのか。
雨宮の口から出る冷たいとも思える言葉と綺麗な横顔が何だか俺の心に突き刺さる。
でも、やっぱり雨宮を好きだという気持ちは変わらなかった。
雨宮には届かないけれど凄く好きだ。
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