アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
茜色の章17
-
「…で、このアイコン押せば天気が見れるし、ニュースはこれ。ゲームはこのサイトにいっぱいあるけど、有料か無料かをきちんと確認しろよ。個人情報盗られるような悪質サイトもあるからレビューや規約はちゃんと読んでから自己責任で。」
「わかった。雨宮はなにかゲームしてないの?」
「してない。」
こんな時、我ながらつまらない人間だと改めて再確認する。
漫画も滅多に読まないし、愉しむといったら本を読んでいる時くらいだ。それもアプリ化されたものでなく紙の本が好きだ。
紙の匂いやインクの香り、質感が何故かホッとするのだ。これは自分の周りの同年代には理解される事は多分少ない。
「じゃあ雨宮はどんな事が楽しいの?」
「…本は良く読む。」
「本?ああ、なんか雨宮のイメージにぴったりだね。難しいの読んでそうだし。」
「そんな事ない。読むのは主に小説だし、特にこだわりは無くて色んなジャンルを読む。映画化されたりすると見にいったり…。」
「面白そうだね。今度本貸してよ。おすすめのやつ。」
「そのうち貸すよ。」
そのうちと言ったのに、次会う時に持って来てやるつもりで、どの本を貸そうかと頭に浮かんだタイトルを吟味しながら、雨宮は今限りなく一般人の日常を体感していた。
友人。
それと能力に全く関係ない日常会話。
いや、四十九院となら能力の話も隠さず話せる。
普通の人間に話が漏れたって、厨二病が抜けない奴ら程度に思われるだけかもしれない。
一人なら危ない奴でも、二人なら軽くクリア出来る事があるかもしれないと雨宮は恩恵を感じていた。
四十九院と一緒にいて嫌な気分はしない。
ただ、あんまり心を許すのは良くないと雨宮の心の機能がセーブをかける。いつ自分の傍からいなくなるかわからない、それが深層の声だった。深く繋がれば繋がる程に別れが訪れた時に辛い。どうしてもそう考えてしまう。
雨宮にとって別れは痛みそのものだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
103 / 159