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呂色の章7
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「ではこれで工事は終わりましたので、工賃は10日に指定口座から引き落としになります。」
「はい、ご苦労様でした。」
ニコリと笑ってカイリは3人の男たちを見送った。
出来上がった部屋は防音壁で、完璧な密室になり得る。
広さは六畳ほどのなんの飾り気も無い部屋だけど私は満足した。
最速でお願いして、工事は5日かかった。
早く進めてもらうためにホテルで過ごし、約束の日に部屋へ戻って来た。代金はパパに電話を一本。
次の日には200万振り込まれていた。
娘の安全の為なんだから当たり前だよね。
この部屋の名目はパニックルームだ。
強盗が侵入してきた時に逃げ込む部屋の事。
若い女の一人暮らしだし、特に疑われることは無かった。
壁に丈夫な金属フックを幾つかつけてもらった。
非常食の入った袋をぶら下げたりできる。
ハンモックを付けたいとも言うと反対側の壁にも同じフックを作ってくれた。壁は可愛いピンク色のヴィクトリア風にしてもらったし、狭い部屋だけど小さなシャンデリアも。
普通と違うのはトイレやシャワー、小さなシンクも付けたことかな。
ここにしばらくの間小鳥を入れておく。
そう、…何年か。
すっかり従順になったら外に出してあげても良い。
「……まずは雛を先に連れてこなくちゃ」
そうすれば、女医にもいい土産話ができる。
私の雛をどんなに大切に育てているか話せる。
もしかしたら、雛が人間だと言ってもあの女医は驚いたりしないかも。あの深い心に響く声で私という人間を受け入れて、ただ話に耳を傾けるはず。
きっとそう。
彼女が私の話に一心に耳を傾けるところを想像するだけで楽しい。どんな姿なの?
肥え太った豚女?
二目と見れない醜い女?
それとも単なる地味な真面目女?
老いを隠したケバい中年女?
どんなマイナスイメージを重ねたとしても、高い気品と精神性はそのいずれも破砕してしまう。
それに、どんな姿でも知性溢れる澄んだ眼差しをたたえているはずだ。
早く逢いたい。
彼女の為にお菓子屋も随分調べ取り寄せておいた。
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