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銅色の章4
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雛が倒れた。
倒れても意識があったので、ああ、足りなかったのかともう一度押し付けた。
制服の背中を捲ると押し付けた場所が赤くなっていた。
可哀想にゴメンね、と呟いてそこをいたわる様に撫でた。
けれど、あんな施設なんかにいるよりずっとマシ。
痛かったかもしれないけれど、ライオンや象みたいな野生動物だって保護する時は麻酔銃でうたれるのだからこれだって仕方ない事だと蒼く光る電光を見ながらカイリは思った。
雛から離れ後部席のスライドドアを開ける。
そこから折り畳みのカートをとりだす。
運送屋が幾つもダンボールを重ねて押して歩いていたのを見て便利だと購入したものだ。それと幅30センチ、長さ1メートル程の板をとりだして後部席入り口から地面へと斜めに渡した。
「脱力した人間て結構重いんだ?」
カートのタイヤをロックしてから雛を抱えて上半身だけをなんとか乗せた。そこから雛の体を横にして体育座りの横倒しの様なポーズをとらせて全身を乗せた。
一旦カートに乗せてしまうと後部席まで持っていくのは楽だった。後は坂の上に雛を乗せて滑り台を遡る様に上からズリズリと引き上げた。
「案外上手くいった」
計画通りだ。後部席の足元に転がる雛の手足をガムテープで巻いておく。テレビドラマみたいに口にも一応貼った。
雛は小さいから何とかなったけれど、雨宮君は明らかに自分よりも大きい。スタンガンで気絶させるまでは簡単かもしれないが、運ぶのは容易では無いと今回のことで覚えた。
車は何事も無く走り去り、カイリを見咎める者も無いまま和也は狂った巣へ運ばれた。
数時間後、カイリの家のパニックルームですっかり着替えさせられ鎖に繋がれた状態で目を覚ますまで真っ暗な闇の夢を見ながら和也は眠り続けた。
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