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銅色の章16
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「昨日からカズが帰って来ない?!」
「…そうなのよ!あんたこの間カズちゃんと会ったのよね?カズちゃんが行きそうな場所とか、なんか悩んでたとか、変質者がいたとか、不審人物がいたとか知らないの?」
カズと最後に会ってから数日後の事だった。
その時俺は家にいたのだが、後見人的な立ち位置の母親に児童福祉施設から連絡が入り、昨日学校が終わってからのカズの消息が途絶え施設の方に帰って来ないのだという。
俺は動物虐待の事件が近所で起こっている事から、最悪の事態を想定して背筋が寒くなった。
まさか人間を?
それから、すぐにそれを否定した。
カズが狙われたなんてことあるわけない。
カズはきっと無事だ。
そうじゃないといけない。
俺はこの間のカズの様子を頭の中で再生する。
屈託の無い幼さの残る笑顔。
健康そのものの中学生。
人間の中身がどこか変われば、必ず体にサインが出る。
成長したんだし変化は当たり前だが、カズにはそれが見当たらない。髪型や服装、子供の頃のカズの印象そのままに大きくした感じだ。
話し方、微笑み方、全くすれずに純粋培養で育てたみたいに昔のままのカズだった。
勘だし、正しいとは言えない。
でも、ヤンキーに知り合いがいるようには見えなかったし、外泊するような感じでもない。
「昨日の夜に警察に届けたらしいんだけど、中学生の男の子っていうのと、ほら、こういう施設は閉鎖的なイメージだし、施設の子と言うだけでイジメだとかも多いって聞くでしょ?だから家出の線を疑われて、事件性も薄いと思われてたみたいなのよ。」
「…カズは家出なんてしない….」
だから、帰ってないなら何か事件にあったのかもしれない。
そう思うと、やはり近所で起こっている動物虐待事件のことが頭に浮かんでしまう。ありえないと何度消してみてもこちらを嘲笑うみたいに考えてしまう。いてもたってもいられなくなって、学校から施設までの道を辿ってみようと家を後にした。
もし、動物みたいに頭を潰されて地面に埋まっていたら…….
俺は頭をブンブン横に振り悪い考えを追い出した。
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