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翌日
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「園原っ」
あんな事があった翌日から、東雲はもう俺の教室に来るようになった。
今も四限目の終了を知らせる鐘が鳴ったすぐ後に、教室の前扉からひょこっと顔をのぞかせる。
ざわ、といつものごとく騒がしくなる教室。
そんなもの東雲にとっては慣れっこな様で、彼は、相変わらず後ろをついて回る女子たちに別れを告げてそのまま俺たちの席へやってきた。
「来んのはえーな、おい」
「授業が少しはやく終わったんだ」
笑みをこぼしながら、自分の昼食であろう弁当を抱えて俺の前の席へ腰をかける東雲。
ちなみにそこの席の男はいつも彼女と屋上で食べているらしいから問題なしだ。
今日は俺も、朝のうちにコンビニで買ってきた飯があるから購買に行く必要はない。
さっさと食べようと袋を机上に乗っけた。
その時、
「ゆ、きっじちゃーん!」
やけに飛び跳ねた声と共に、ゴツい腕が俺の体を締め付けた。
「うぐっ..」
「ぶふっ、なにその反応うける!」
詰まった声とビクッと跳ねた肩を見て、ゲラゲラと笑う人の気配。
こんな馬鹿げたことする奴、俺の知り合いには一人しかいない。ので、
「貴人っ、このアホ!」
「いたっ」
勢いよく振り返ると同時に、キラキラと輝く金髪頭にチョップをくらわしてやる。
「いたた、ひどいなぁ幸治ちゃん」
「うるせー、バカ。何してんだよ」
いつもなら女に会いにさっさと教室から出ていくのに、何でまだ居るんだよ。
今日は何かあるのか?と考えてみるも、特に何も思い当たることがない。
しかしすぐに、さては...と思いつき、つい口角がにやにやと上がった。
「今日はお前にお弁当作ってくれる女子がいないんか?ん?」
チャラいくせに女子の人気が高いコイツの周りにはわざわざ手作り弁当を作ってくれる子が何人かいるらしいのだが、ついに女子に愛想つかされたか。
「んーや?昨日真弓ちゃんからお弁当持ってくねって連絡貰ってるよー」
「ちっ、なんだよ」
どうやら、貴人の女子人気はまだ止まることを知らないようだ...。
誰だ真弓ちゃん、と思いながらも相変わらずのモテッぷりに舌打ちをかます。
「じゃあ、はよ真弓ちゃんとこ行けよ」
弁当あるなら何でこんなとこにいんだよと問い詰めれば、貴人の目線がスススっと俺から逸れた。
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