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ご対面
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彼が向けた目線の先に映ったのは、言わずもがな東雲奏太。
あー、なるほどな。
そう思って、貴人にジト目を向ける。
「お前、喧嘩売るなよ?」
いくら東雲が貴人よりモテるからって、男の嫉妬ほどカッコ悪いもんはねーぞー、と目で訴える。
上手いこと伝わったらしいそれに、貴人は「ちがうわぃ!」とデコピンを食らわせて来やがった。
いたたたた、とおでこを庇う俺を無視して、貴人の興味は東雲一本。
「ねぇねえ、王子様ー」
話しかけるその声も、東雲を見るその目も、鬱陶しいくらいにニヨニヨと上がっていた。
「....園原、この人だれ?」
しかし、礼儀なんてものを知らない貴人とは真逆に、随分と落ち着いた声で俺に話しかけてきた東雲。
こういう所が東雲と貴人の差なんだろうと思う。
「あー、こいつは綾瀬貴人。まぁ、俺の連れみたいなもんだ」
「園原の友達なんだ」
俺の説明に納得した様子の東雲は、じいっと値踏みするかの様に貴人を見つめる。
顔のいい男二人が至近距離で見つめ合う図のおかしさは半端じゃない。
「どーもー。王子様」
「王子様って呼ばれるのあんまり好きじゃないな」
「えー、王子様ってカッコよくない?女の子の憧れじゃーん」
「俺にはちゃんと名前があるからさ」
チャラチャラと語尾を伸ばす貴人に笑顔を向けながらも、東雲の言葉はどこか堅い。
それは、貴人も同様に感じているようだった。
「...なんか、王子様意外だねー!もっと優男って感じかと思ったら案外人間ぽい」
にやにやと楽しそうに口角を上げながら、何が面白いのか、笑いを堪え切れていない馬鹿。
「.....」
ほんの一瞬、ピクッと、東雲の目元が引きつったように見えたのは、きっと気のせいなんかじゃないと思う。
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