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綾瀬のギモン
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教卓に手をつく若い男の教員は、何も言わずただ教科書を読む。
「俺にすっごい敵意向けてくるし、幸治ちゃん大好きオーラ半端無いし、王子様ってなんなの?」
「別に大好きオーラなんて出てないだろ」
結構出てると思うけど。
そんな事、俺が言えるわけない。
「そう?さっき東雲が幸治のこと好きって言った時もなんか納得しちゃったのに」
「は!?納得なんかすんなよ」
「だって、大好きっぽいからー。そういう意味で」
貴人が言った、"そういう意味"
深読みしてもしなくても、言葉のまんまそういう意味だろう。
東雲には何度も変なことすんなよって忠告したのに..っ、全然意味ねぇじゃねえか。
「東雲の言ってる好きは、ダチって意味だから」
「えー、そうかなぁ」
「そうなの。アイツ今まで友だちとか居なかったらしいから、スキンシップ激しいんだよ」
「え、そうなの?幸治がハジメテのお友達なわけ」
「そうそう。だから変な深読みすんなよ」
分かったか、と言い聞かせる様にシャーペンの先を貴人に向ける。
本人はどこか腑に落ちない顔をしている様だったが、これ以上喋れば自分で墓穴を掘りかねない。
余計なことは言わないでおこう、と俺は再び黒板を見た。
カッカッと白いチョークで教員が黒板に何かを書く。
何か言いたげな貴人を無視して、もう話すことはないと意思表示するかのように、俺は再びシャーペンをノートに走らせた。
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