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しゅんとした東雲を見ていると何故かこっちが罪悪感に駆られる。
いや、悪いのそっちだからね?
俺悪くねーから!
しかし、そうは思っても途端に怒りづらくなってしまい言葉に詰まっていると、シュンとしたままの東雲がポツリとこぼした。
「ごめん。でも、本当に園原が綾瀬に取られると思ったんだ。俺は園原が好きなのに、園原は綾瀬のことばかり好きな気がして。...そしたら我慢できなかった」
その言葉に、俺はついポカンと口を縦に開けてしまう。
俺が貴人のことばかり好きってどんなんだよ。
東雲の脳内で俺と貴人がどういう関係性になっているのか知らないが、少し想像しただけでも吐き気がするレベルだ。
何をどう考えたら貴人と俺がそういうコトになるのか..東雲の思考は謎すぎる。
「お前は貴人のこと気にしすぎだよ。そんな重く考える様なことでもねーだろ」
あいつは俺に興味なんてないし、俺もあいつに興味なんてないと一応フォローしておく。
東雲が不安に思ってることは基本的に全部的はずれだ。
的はずれすぎて、俺に多大な迷惑がかかってる。
しかし、東雲の不安はなかなか拭いきれない。
「...でも、綾瀬とすごく仲良いから」
「まぁ、ダチだからな」
「園原と綾瀬を見てるとすごく不安になるんだ」
「そんな不安になる必要ないって言ってるだろ?」
「......」
どれだけ説得しても、東雲は不安そうに瞳を揺らす。
..なんつーか、本当面倒な性格してんなこいつ。
というか、多分東雲の場合はこういう恋愛ごとに慣れてない部分も大きいんじゃないかと思う。
友達いないって言ってたし、ピンク色の噂も聞いたことないし、多分こいつは今まで好んで人と関わってこなかったんだろう。
これは、二週間東雲のそばにいてふと思ったことだった。
人と関わることに慣れてないから、距離感の掴み方が下手。
だから、取り巻き女子を撒くのにも一苦労してんだろうし、人前で当たり前のように俺が好きとか言えんだと思う。
...まぁ、天然って部分もあるんだろうけど。
そうなると、今俺がどれだけ説得しても無駄な気もする。
やっぱりそういうのは慣れて身につけるしかないだろ。
...とはいえ、東雲がその距離感を掴むまで、綾瀬に場違いな不安を抱かなくなるまで、俺が犠牲になるなんて御免だ。
それに、天然入ってる東雲がいつか厄介ごと起こすんじゃないかと危惧していた部分もあったけど、まさか街中で発情しだすような馬鹿だとは思いもしなかった。
...まぁ、学校で男襲う時点でかなり危険物件だけど。
俺は今日やっと学んだのかもしれない。
こいつはかなり危険な宇宙人だ。
俺より力強いし、思考回路はまったく読めないし、俺の中の常識が通じないこともある。
これは、早急に手を打たなければ....。
「...なぁ。しの.....奏太」
俺の体を綺麗にする為カバンの中からハンカチを取り出した東雲に、俺はある命令を下した。
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