アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
変化
-
ぽつん、ぽつん、と本音を零す東雲に、次第に俺の心も落ち着いていく。
「園原が言うなら、俺は園原に触らないし、綾瀬とだって仲良くできるよ。..でも、それは俺が園原のこと好きだからってこと忘れないでほしい」
「.....」
「園原は、俺の気持ち知ってるって言うけど、そうじゃなくて...、もっとちゃんと見てほしい」
「本当に好きなんだ。俺は園原が好きなんだ」
「.....うん」
気づけば、ぽつりと声を漏らしていた。
「園原にとって俺は友達かもしれないけど..その...ちゃんと一人の男として見て、ほしいです..」
何だか歯切れの悪い言葉の終わりに、笑みが零れる。
夕方の静まり返った住宅街で、俺は何とも言えない気持ちになり、もう一度ぎゅっと強く体を抱き込まれてから身を強張らせた。
何つーか...、初めて東雲の気持ちにしっかりと耳を傾けて聞いた気がする。
案外俺は、東雲の気持ちをしっかりと受け止めてなかったんだろうか。
...分かっているような気になっていただけで、本当は目を逸らしていたのかもしれない。
俺がいい加減な態度で居たから、東雲を不安にさせたのかもしれない。
だから、彼は少し無理な手を使ってでも俺を振り向かせようとしたのかもしれない。
そんな気がするってだけで、そう思っただけで、東雲はすごく分かりづらい。
でも、少しずつ俺の中で東雲という男が紐解かれていく。
俺はこいつの気持ちに応えるつもりはないけど、それでも正面から全部受け止めてやるくらいのことはしてやってもいいと思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
86 / 119