アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
逸らさない
-
しかし、当の本人は何を謝られているのかよく分かっていないようだ。
.....なんかむかっとくる。
「.....」
でもやっぱりどこかで俺は東雲の言葉を間に受けていなかったんだと思う。
東雲が男だから、何度好きと言われようと、どこか冗談めいたものを感じていたんだ。
告白されても、襲われても、どこかで信じたくないと思ってしまっていた。
きっと東雲は俺のそんな気持ちに気づいていたから、貴人が俺に構うのを面白くないと感じたんだろうし、貴人をあんなに敵対視していたんだろう。
なのに俺は全然気づかなくて、さっきも貴人に乳首触られて変な声出して..。
あれは、まぁ、俺のせいじゃねーけど...。
でも、俺も油断してたし、東雲すごい怒ってたし...。俺にも悪いところはあったし。
だから、謝るくらいはちゃんと素直にしなくちゃいけない。....気がする。
「さっきのことも、今までお前のことちゃんと考えてなかったのも、全部含めてごめんな」
お前の気持ちには応えられないけど、ちゃんと受け入れようって決めたんだ。
逃げないように、東雲の目を見て謝った。
「別にお前のこと好きになったとかじゃないけど、好かれるのは...まぁ、悪い気しねえし..」
「園原....」
「これからは...まぁ、ちゃんと考えるよ。お前の気持ち」
「....っ..」
じっと見つめ合って、やっぱり恥ずかしくなった俺は勢いよく目線を逸らす。
だけど東雲はそんな俺を許さなくて、ガッと両頬を掴まれ無理やり東雲の目線と引きあわされた。
「園原、好きだよ」
ふわり、と微笑んだ彼の笑みは何だか本当に久しぶりに見た気がするくらい綺麗で思わず俺は言葉を失う。
「いっぱい考えてね、俺のこと。俺のことしか考えられないくらい好きにさせて見せるから」
「........」
肯定も拒絶も出来なかったのは、東雲の馬鹿が俺の両頬を挟むから顔が動かなかったからで、別に誰も見惚れてなんていない。
「...バカ犬」
幸せそうに蕩けた顔を晒す東雲に、そう小さく囁いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
88 / 119