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お招き
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いつもなら園原と別れるはずの道を、園原と二人で歩く。
少し緊張してしまうけど、いつもと違う帰り道が俺の胸の奥をぽんわりと暖かくする。
「ここの10階が俺の家だよ」
「10階...」
目の前にそびえるマンションを見上げながら、園原がぽつりと呟いた。
マンションにこの反応ってことは、園原の家はマンションじゃないのかな。
なんて思いながら、立ち竦む園原においでおいでと手招きする。
中に入った俺たちは、エントランスを通り過ぎてエレベーターに乗り込んだ。
園原は何だか終始落ち着かない様子。
「マンションってそんなに珍しいかな」
「いや、悪りぃ。俺の知り合いにマンション住みってあんまいねーから」
こんな感じなんだと思ったら、なんかキョロキョロしちゃうな。
そう言って照れ隠しのように笑う園原に、きゅんと胸が鳴る。
本当、なんでこんなに可愛いんだろ。
別にすごく背が小さいわけでもないし、中性的な顔をしているわけでもない。
可愛いかかっこいいかって聞かれたら、園原は絶対かっこいい寄りなんだ。
だけど仕草とか、ふとした瞬間に見せる顔とか、なんでこんなにも...。
ずっと、一年の頃から...。
気付けばじぃっと園原を見つめていた俺は、エレベーターが10階に着いた音で我に返った。
「園原、こっち」
慣れない様子で俺の後ろをついてくる園原を見ながら、自分の家へと案内する。
「お邪魔しまーす...」
「今誰もいないから大丈夫だよ」
「仕事?」
「うん。姉さんは学校」
「姉貴いるんだ」
「今19だから大学生だよ」
そんな話をしながら、園原を俺の部屋へ連れて行く。
昨日一応掃除したし、多分大丈夫だと思うけど...。
やっぱり何だか緊張した。
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