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葛藤
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園原を一人ずっと部屋に残すわけにもいかないので、そそくさと料理に取り掛かった俺は、自分が作ったものを園原に食べてもらえる幸福感に満たされながら、フライパンを火にかけた。
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「あーっ、うまかった!」
「ほんと?よかった」
テーブルの上に置かれた空のお皿。
米粒一つ残っていないソレを見て、何だか無性に嬉しくなる。
「ご馳走様、ありがとうな」
「ううん、気にしないで」
即席炒飯も同然だったのに、園原は本当に美味しそうに食べてくれて、俺に笑顔を向けてくれて、何よりこの状況が夫婦みたいでドキドキする。
きっと今、俺すごく締まりのない顔しているんだろうなと思いながらも、しばらくは引き締まりそうにない。
すると、突然園原がすくっと立ち上がった。
「悪ぃ。トイレ貸してくれ」
「うん、いいよ。すぐ左にあるから」
「ありがと」
バタン、と扉を閉めて部屋を出て行った園原。
...今のうちにお皿とかキッチンに持って行こうかな。
そう思って立ち上がった時、ふと目線がある場所を捉える。
「あ...」
その瞬間、脳裏にある物が浮かんで俺はつい声を出してしまった。
小さな引き出しの一番奥。
誰にも見られないだろう場所に、この前俺は隠したのだ。
綾瀬から貰った媚薬入りの小瓶を。
「...........」
(..いやいやいやいやっ)
ひょこっと顔を覗かせた妄想を打ち消す様に、俺は慌てて首を大きく振った。
別に、今日はそういうコトをしようとして呼んだわけじゃない。
媚薬なんて、そんな得体の知れないもの園原に使えるわけないし。
「あれはただ...一応薬だからどう捨てればいいか迷ってるだけで、保管してあるとかそういうんじゃない..から」
誰にいう訳でもなく、一人ぼそぼそと自分を納得させる。
媚薬で理性をなくす園原も絶対可愛いと思うけど、俺が好きなのはあくまでいつもの園原だから。
媚薬なんて....媚薬なんて...っ。
「.....はぁ。片付けてこよ」
ピクッと息子が反応したのも知らないフリして、俺はそそくさとキッチンに向かった。
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